沖田総司の概念に酔った話
みなさんご無沙汰しております、りらです♡
(こちら10月末に書いた記事ですが、もったいぶる内容でもないのになぜか公開を忘れており、結果的に随分寝かせました)
前回烏滸がましくも公開した沖田総司予習記事、内輪の5人くらいの山田担さんに読んで笑っていただければ…♡とコメディ9割(皆さん真摯な感想をくださったけど、冷静によく読んで?すんごいふざけてるでしょ?)で書いたものだったのですが、予想以上に多くの方に読んでいただけたようで、なんとも感無量……皆さんお優しいねえ…
あたくしはアクの強い性分で出てきたもんですから、今度生まれてくるときは皆さんみたいな素直な性分で出てきたいと思います(みんなを寝かせながら)(菊一文字を抜こうか?)(やばいこのまま一生喋り続けてしまう)
「燃えよ剣」の感想を書くかと思いきや……
書けない………(剣を置く)
予習・復習はセットですから、本来書くべきなんだろうけど、あの作品の感想を書くには、私の表現力では不足があります。そういう自覚があるんです。
準備万端で行ったのに、初回鑑賞時口あんぐり開けてアホ面晒したまま帰宅してそのまま食欲戻らず30時間くらい経ちましたよ。
気付かなかったが、私も鳥羽伏見で背中に1発食らったんかね…?
一方で、twitterのTLには平伏必至の巧みなブログ・noteがわんさか流れてきましたので、それでもうすっかりお腹が膨れてしまいました。あとは皆さまにお任せいたします。私は会津に残ります。(みんなあんまり言ってないけど斎藤一やばすぎなかった!??!?平気!??!?やっぱり原作よりも甘みのある優男に仕上がっててぶっちぎりで素敵だった……「局中法度はもう終わったということですか?」の松下さんを抱きすくめて若松城下の会津戦に参加することになりましたので北へは行けません、五稜郭はよろしく)
というか、山田くんが他界隈の方々にデロンデロンに褒められてるの見て思考停止しましたね。「まさかここまでとはな…」ってもはや引いた。何に引いたかと言うと、世間の無知に。
これまでそんなに酷い色眼鏡でうちの将軍のこと見てたんか…!?という苛立ちと、そんな逆風の中を涼しげなキラースマイルで駆けてきた山田くんの強メンタルへの敬意。山田くんって顔面と同じくらいメンタル強いのかっこいいんだよな〜〜主人公なんだよな〜〜(頭抱)
私にとってはいい意味で"予想通り"だったかな、という印象で、自分の想像の方向性が間違っていなかったことを実感しました。ウン、山田くんが沖田総司をやるってなったらこうよね。だって沖田総司は山田涼介で、山田涼介は沖田総司=必要十分条件だもの。
結構冷静に観たつもり、でした。
それなのに、なぜか記憶がほとんど消えている。ライブ終わりのあれと同じ。
なんだか知らんが、私だけ『沖田総司』という仰々しい幻想に浮かされて、人類で初めて太陽を直視して目やられた人みたいにふらっふらなんですよ。冷静なのに!
でもいつまでもこんなことをしている場合じゃないんだ、勘弁してくれ。
だって山田担、後がつかえてるでしょ?
アリツアだってドームツアー(虚)だってあるし、アラタくんの前に全裸で転がる大怪獣にもならなきゃだし!?てかアラタくんは大怪獣よりもまずオミクロン株をどうにかしてくれよな!!!
だから、私なりの葬儀というか……一旦沖田くんを弔って仕舞う儀式をしようと思い立ちました。
そこで向かった先がこちら。
オタク界隈では結構知られているかもしれない。
元CafeBarKirin様です。しばしば訪れるジャニオタの情緒をめっちょめちょにすることで有名なカクテルバー。
「イメージカクテル」といって、文字通り「概念」や「解釈」そのものを一からカクテルとして組み立てていただけるサービスがあります。
ずーっと気になっていた(山田くんの概念を飲みたかった)のになかなか機会がなく、今回偶然他界隈の友人が連れて行ってくれると言うので、山田くんも良いけど、どうせなら旬な「沖田総司」でいこうかと…!!!
ここでちょっとした注意書きなのですが、infさんは「『燃えよ剣』の沖田総司のカクテルを作ります!」と宣伝してそれを商品として提供しているわけでは決してありません。
私のMAXキモオーダーシートに書かれた特徴を元に、一からレシピを生み出してくれているわけです。ただ単に私の要望を聞いてくれているだけ。そこにスタッフさんの私的な思惑は存在しません。
それでは以下、緊張でガッタガタになりながらも"りら解釈版"沖田総司のカクテルを作っていただいた話をします。
(ちなみに、かなり人気なので、予約をしてから行った方が安全です!)
1.オーダーシート記入
イメージカクテルをお願いすると、パリッとした良質な紙(A5サイズくらい?それよりちょっと小さいかな?)のオーダーシートを渡されます。ボールペンも貸していただけました。
記入する項目は以下の通りです。
・アルコールの強さ
・苦手な味(アレルギー)
・作品名(創作作品もちろん可!)
・キャラクター名
・性別/年齢
・身長/体格
・イメージカラー
・イメージモチーフ
・性格
・キャラクターの好きなところ
提供にかなり時間がかかるので(完全オーダーメイドだからね!ありがたい…)、30分程度での記入をおすすめされましたが、ざっくりしたメモを用意していたにも関わらず緊張と興奮のあまり義務教育課程の記憶が全飛びし、日本語の文法や漢字のひとつひとつを検索する羽目になりましたので、なんだかんだ40分くらいオーダーシートを握りしめていた気がする。
沖田、まで書いて「そうじ」ってどう書くんだっけ…?ってなった時はさすがに汗が噴き出したね……総合学習の「総」だ……「じ」は?炭治郎の「治」…?「次」……?それは幼名……アーーーー!!!道明寺司の「司」だ(泣)って半泣き状態。笑ってるけど、みんなも土壇場で自担の名前書けって言われたら焦ると思うよ!!!
私の書いたオーダーシートをお見せしたい気持ちは山々ですが、幼少の頃から筆跡に頓着せず好き勝手書いてきた私の文字は皆さまのお目汚しになりますので、控えます。
簡単に言うと、先に出した3万字ブログを要約したものを書きました。
司馬先生の沖田総司だけではなく、他の先生方の著作も含め、私の持てる沖田総司知識の全てを濾過し、渾身の一撃を繰り出せるよう努めた。
ご迷惑になるので書き過ぎないよう注意したつもりではありますが、注意書きのところに「これよりも小さい字で書かないでください」とあるのを完全に見逃しており、それよりはさすがに小さいだろ…なサイズでびっしり書いてしまったのでスタッフさんに謝りました。ごめんなさい…
それからアルコールの強さですが、りら姉さんは完全なる下戸です。
酔うと泣き出すとか、絡みだすとか、吐くとか、そういう次元のアレではなく、心臓バックバクになって酩酊します。危ねえ!
でもね、もう良い歳ですし、ほんの少しでも飲めるに越したことはないですから、これを機にちょっぴりでも飲めるようになりたいなあ…と思い(というか、沖田総司で酔いたいじゃん?)、infさんに伺う2週間前からアルコールトレーニングを始めましたの。毎晩ワインかラムミルクを飲んでほんの少しずつ慣らしましたわ。でもこれ、軽率に真似しないでね。私はお医者さまに相談してからやりました。
せっかくトレーニングしたので、ちょっとだけアルコールに挑戦してみよう!!!と思い、「凄く弱め」でオーダーさせていただきました。もちろん完全ノンアルでも快く引き受けてくださいます!♡
オーダーシートを提出してから、大体1時間くらいかな…
その間おつまみとシャーリーテンプル(ゴリゴリにノンアル)をいただきながら友人と楽しくお喋りしていたので、待ち時間は全く気になりませんでした。むしろ5分くらいでサッと出されるよりも、じっくりオーダーシートを読み込んでからお作りいただけるって、それだけでなんかもうとろけません???
ちなみに友人は「ルイ9世(フランス王)」でオーダーしてました。何のキャラクターでもなく、史実そのまま+彼女の解釈です。作品名のところに「歴史上の人物」と書いていて超強かった。
よく考えたら私のオーダーも「歴史上の人物」だったわけですが、脳内をあの山田涼介のキラキラ顔面に支配されていたせいでなんかとち狂ったことを書きました。
2.お出まし
おびただしい数の付箋が貼りついた「新選組血風録」を撫でまわしながらお喋りしていたら、ついに登場。
沖田総司来たんですけど
なんかすいません、沖田総司来ました。
え、本物ですか!?!???ですよね??!??ファンです泣 ずっと好きでした泣
胆力がひ弱な私はもうこのビジュアルだけで卒倒しかけたのであなたはAEDを持ってきてください。
あとなんか
菊一文字ぶっ刺さってる!?!?!?!?!?
気のせい?刺さってない???
この赤いまんまるの物体は何!??山南さんの首?!?あとで食べちゃお♡
息が詰まって酸素が行き渡らず聴覚が死んでいたので、正直なところ、スタッフさんの説明の出だしを全然覚えていません。聞こえなかった。
でもこの小柄で細身かつ品があり嫌味の欠片もないフォルムが沖田総司でしかない。というか山田涼介。8キロ減量してアーモンド生活をしている山田涼介。1日1粒のチョコレートを唯一の幸せとして頬張る山田涼介。
以下、徐々に聴力が回復し始めてから辛うじてキャッチしたスタッフさんのご説明です。ところどころ本当に聴力がガタガタで、唯一の頼みのメモも「やばい死ぬかも」とだけ書かれた後全くの白紙でしたので、私の記憶がいま再生成した頼りない記録です。でもおっしゃっていたことから大きく逸れてはいないと思う。
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まずこの最上部には、ジャパニーズクラフトジンROKUという日本のジンをお使いしております。
柚子を基調とした柑橘系のすっきりとした飲み口で、気さくでひょうきんな人たらしの面を表現しています。日本人ならつい懐かしんでしまうような、きっと誰しも好きな香りです。万人に愛される沖田さんにぴったりかと思います。
そして、大和魂の象徴、桜も香ります。親代わりのお姉さまに育てられ、女性を尊重することのできる彼は、少しフェミニンな気品も備えているとのことでしたので。
それからこちらのジン、煎茶、玉露も香ります。
お召し上がりいただければお気づきになるかと思いますが、山椒も入っています。こちらで、彼の生来の勘の良さ、鋭さを表しています。
そしてこの透き通った濁りの無い色。彼の純真な部分や、際立って美しい「透き通るような笑顔」をご連想ください。何があっても涼しげで、飄々とした風情も感じていただけるかと思います。
そして底の方には、生々しい赤が沈んでいます。こちらは石榴(ざくろ)のシロップです。もちろん彼の仕事のイメージには欠かせない「血」の意味でもありますが、「ちょっと色小姓にしたいような」艶っぽく華やかな美貌も表現してみました。
この2層構造(透明なジンと、ざくろの深紅)には、どれだけ斬っても返り血を浴びない彼の不思議な清潔感と、あらゆるものを慈しみながらも芹沢暗殺の際に進んで一の太刀を担うなどという「精神の破綻」の意味を込めました。
色が薄いため見た目にはわからないのですが、さらに底の方に、もう1層隠れています。こちらは金木犀のシロップです。
金木犀とは、何里先の人をも虜にし、たびたび人々の記憶の引き金になる「忘れられない」香りを持ちます。一説によると、「あの世まで届く香り」とまで呼ばれています。近藤・土方両名を己の思想とし、「地獄の果てまでついていく」と決めている沖田総司の並々ならぬ覚悟を表現しました。
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こんなことって………
許されるのか!?!?!???!
スタッフさん、大変な暴力性を持った天才でいらした。
解釈を解釈でぶん殴られたのですが、、、警察ーーーー!!?!?
まだ飲んでもいないのに、奥義をもって挑むもみぞおちを貫かれた煉獄さんになってしまった。俺がここで死ぬことは気にするな……
「素晴らしいです、期待以上です!」「ありがとうございます。まさにこういうものを求めていました!」とか気のきいたことを言いたかったのに、ただ「グヘエ……」とか変な声出しながら山田涼介の公式写真をカクテルに添えて連写する妖怪になった。
あたくしのお気に入り、アボカドすり潰し涼介くん
3.いざ
既に半泣きで目頭を押さえながら、まずは一口。
最初は混ぜずに、上澄みだけを味わいます。
ん!!?!?!??水!!?!?!????
(最悪感想グランプリ受賞)
なんだろう、そのくらいすっきり爽やかだということを伝えたいです、ハイ。日本の美しいところを全て詰め込んだ清らかな水です。日本に生まれた事実に涙が出てきた。父上、母上、ありがとうございます。
水なんだけど(違うよ)、柚子が愛らしくぷわっと香る。沖田きゅん…♡そこにいるのね…?いるんでしょ?コラ!句帳を返しなさい♡
こりゃあもう、可愛いわ。お手上げ。道場のおじさんたちがその瑞々しい笑顔にメロメロになっている。
さてもう一口…
ん…!?!?!
全然味が違うんだよな、妙なことに。
今度は、柔らかな風に乗って桜が舞っている。
なんかお光姉さんが出てきてしまった。何が起きているのだろうか。わざわざ江戸からいらしたのですか、お光さん。ええ、総司は無事です。毎日楽しくやっていますよ。ただ近頃気になる咳をしましてねえ……ええ!!?江戸へ連れ帰る!?それは困ります、総司の剣は新選組の宝ですから…(マジで脳内でここまで喋っているんだよ、私という人間は)
これはもう、女と通じることで自分磨きをする土方さんを「磨かれる女性の身にもなれ」とたしなめる沖田きゅん…自分勝手な悲劇性に酔う土方さんの物言いが「女性を見下すような言い方」だとちゃんと認識している沖田きゅん…婦女子だって、「どうする」という能動的な思案を備えていることに敬意を払う沖田ぎゅん…エマ・ワトソンと並んで国連でフェミニズムに関するスピーチをする沖田ぎゅゅぅん……
それに桜って、女性らしい嫋やかな気品のみならず、「滅び」の象徴でもあるじゃないですか。
滅びの美学=新選組 って等式あるでしょ?
中でも特に悲痛な儚さを持っているのって、沖田総司じゃないですか。彼の滅び方はまさに桜だと思うんですよね。はらはら軽い咳をして、あっという間に痩せ細って、どこまでも透き通っていってしまう。
そして気づいた、芳醇なお茶の香り。確かに、いる。
たしか京に、決まって「八の日」に、清水まで足を運ぶ人がいましたね。彼女は、よいお茶を淹れるためにお水にこだわるのでした。
その人を見つめるためだけに、沖田きゅんは「八の日」に清水の音羽の滝へ足を運びます。
まろやかなはずが、苦みが残る恋の味。
嘘やごまかしが嫌いな沖田くんがいじらしい「いいわけ」として利用したお茶だよ…ジンの中にいるよ…
整理しきれない感情のぬるま湯に浸かってほんわァ~~~~~とのんびりしていたら、突如舌にピリッと稲妻が走りました。
山椒だ……!!!痛い…!!気、気づかれた!!?!(何?)やばい助けて、沖田総司にバレた!(何が?)皆さまご機嫌よう。今までどうもありがとうございました。
説明を聞いた時は「お酒に山椒…?」と思ったのですが、この、去り際にぴりりと痛ませる趣向は粋ですね~!
沖田総司と言えば、こう来なくちゃ。優しいだけでは終わらない、腹の底が震える怖さ。
戦闘で長州藩士らしき剣士と刃を交えることとなり、それを取り逃がした長州の間者に「なにをしている。早く追わなきゃ、搦手の連中が苦戦をするよ」と声をかける何もかもわかっている沖田きゅん…
桝屋(勤王派の武器弾薬が隠されていた)の家宅捜索に際してぶらぶら歩き回り壁をコツコツ叩いて遊んでいるのかと思いきや「あのねぇ、ご主人。ここに隠し扉があるでしょう。壁を叩くとここだけ音が違うんだ」と、無邪気に秘密を丸裸にしてしまう沖田きゅん……
このジンはまともじゃない。1つのお酒にこんなにも見事に沖田総司の条件が勢揃いするなんてことあるか…?
というか、ここまでさまざまな日本の味を融合させてしまうと、日本に縁のあるキャラクターすべてに使うことが可能じゃないですか…?何かしら引っかかってくると思うんですよ。これはもう一家に一本必須かも知れない。
次から次へと表情を変える日本の四季のように、さまざまな香りが何層も折り重なっているのに、カオスにならない。総じて好ましいんですよ。
川の水面のようにキラキラ輝く透き通ったジンに、最期まで「希望」のシンボルであり続けた沖田きゅんの純然とした心持ちを重ね合わせながら、そろそろざくろを味わおうかとマドラーでぐるり。
血!!??!?!??
もわあん……と煙のように舞い広がるんですよ、深紅が。
(これ写真撮っておくべきだった…… どれだけ「「血」」か、皆さんに見て頂きたかったのに…)
沖田総司が人を斬っている!!!!
か、介錯を………まだまだァーーー!!!!!!(一番好きなシーン)
余談ですが、介錯って「愛」だよね。自分の腹切って苦しくない人なんていないんだから、武士としての尊厳を守ったのちはもう綺麗さっぱりスパーーーンといってほしいわけですよ。ところがどっこい、剣が覚束ない新参者なんかに介錯されてごらんなさい…急所を何度も外されて、転げ回りながらしばらく苦悶することになる……
大内美予子先生の「沖田総司」に、介錯を沖田きゅんに担っていただけることのありがたみがよくわかるエピソードが入っていますので、ぜひに。
さて気を取り直して
こんなに血生臭い飲み物、完全に違憲なんですよね…
友人の席の方が若干照明が暗かったようで、そちらサイドから撮った写真に写り込んだ私のカクテル、生き血でしかなかった。私は生き血を飲む魔女になってた。
さっきまで見とれていた上澄みの部分が、跡形もなく赤に染められてしまったのですが……怖すぎる、泣いていい?
というかこれ、沖田きゅんの刃を受けた人間の血とも言えるけど、清らかに冴えわたった上層部を一気に押し包んで染めてしまうさまが、アレじゃないですか?喀血。
いつなんどきも清潔に保たれ、乱れなく着こまれた着物を容赦なく汚してしまう自分の血じゃん……
沖田くん!!!!!大丈夫か!?!?良くない咳だ!!!病院行け!!!!七里、アンタぼーっとしてないで手を貸しなさい!!!ええ!?!?屯所まで歩いて帰るダァ!?!?無理です、なんだって妙なところで意固地になるの!!?(こいつこのまま一生喋るぞ)
それから、パッッと散った赤によって全体が瞬時に華やぎましたね。ざくろの酸味と甘みが水(じゃないよ)にしっかりした存在感を与えて、単純にめちゃくちゃ美味しくなった。美味しい!!!ざくろジュースだ!!!(歓喜)
公開後、「ヒロイン枠は沖田総司」「いやもはやプリンセス枠」など散々言われていましたが、まさに、女性ではないのにまるで"紅一点"のような雰囲気を醸し出していた沖田総司の「華」そのものなんですよ。
これは芹沢鴨に肩を抱かれる沖田総司。美貌で風紀を乱すんじゃないよ、馬鹿者。
それでね、一番ヤバいのがここからなんだよね……
これだけ芳香オンパレードな中で、最も強烈な主張をしてくる香り、何だと思います?
最底部に沈んでいる、金木犀なんですよ。
もう、やめてってば……
近藤さん・土方さんと、地獄の果てまで運命を共にするという覚悟が、彼の本質だということを言いたいのでしょうか…???
もう、自分がこの世にいるのかあの世にいるのかよくわからなくなってきた。どっちでも良いけどとりあえず山田涼介と同じ岸が良い。
友人に「なんかさ、見た目はこんなに真っ赤なんだけどさ、ざくろよりも金木犀が強いんだよね……何度飲み込んでも金木犀が…」と泣きながら説明したあたりから爆裂酔い始めた。灼熱地獄かってくらい顔面が熱い。本当にお酒のせいかは定かじゃない。
沖田総司は植木屋の納屋でひとり死んではいない。
肉体は滅びようとも五稜郭までついて行って、土方さんと一緒に死んだ。
いつまでも主張をやめない金木犀の「あの世まで届く香り」を味わいながら、ふとそんなことを思いました。
沖田きゅん…結局、兄貴達に連れられていった先は極楽ではなかったかもしれないけれど…
新選組で生きたひとときは彼にとって、疑いようもなく幸せなものだったろう。北へ攻め上ってきた官軍をあんたの剣一本で食い止めて、土方さんの命と夢を守り抜いて見せてほしい。あのどうしようもない"職人"をどこまでも面白がって、支えてあげられるのは、あんたしかいないじゃんか。
なんと友人、沖田総司ミリしらにも関わらず、私のオーダーシートとカクテルだけで大体のことを理解してしまっていましてね…
「表に出てはいない(見た目にはわからない)金木犀が、香りとしては一番強く出るって…」
『やめて!!!!!!!!(泣)』
「各々で見ると可憐な香りが多いのに、混ぜると血の赤が途端にすべてを…」
『やめて!!!!!!!!!(泣)』
などと限界すぎて友人の発言を何度も遮ってしまい(だって更に攻撃力の高い発言をすることが読めてしまうので…)「何も言ってないのに(苦笑)」ってなってました、ごめんよ!!!
店を出ると、ちょっと頼りない感じの長い階段があるのですが、明らかに規定量超えの沖田総司を浴びた私、キマりすぎて転げ落ちそうだった。池田屋の階段かと思ったね。遅いよ土方くん……
帰り道、友人がぽつりと
「あのバーのバックヤードには、あらゆるオタクの情念が染みついたオーダーシートが束になってるわけでしょ?どうやって処分してるのかな…普通にシュレッダーとかかけたらまずそう。やっぱ焚き上げ…?」
って言ってて、余裕のない私は「ハハハ」って笑ったけど、よくよく考えたらマジで処分に困りそうですよね。バーのスタッフさんたちはお仕事ですから、その都度普通に細断してるかもしれませんが。火事とかその他自然災害の時に呪術として使えそうだよね、オタクたちのオーダーシート。
あ~~~あ、沖田総司にカタつけるとか言っといて、ま~た9000字書いてるよ…飲み物一つ紹介するのにこんなに喋る必要無かろうて…
実は自室に沖田総司関連の本がまだ数冊積み上がっているし、今後ロケ地も巡る予定(まだ全然具体的なことは決まっていませんが、取り急ぎ京都かな…おすすめスポット教えてください!)なので、やはりしばらくは幕末に居残ることになりそうなのです。
皆さまどうか、あたたかい目で見守っていただければ幸いです…♡
というか今度ジャニオタさんと行って山田くんの概念飲んでみたいな。
ネットの海で「〇〇(自担) イメカク」や「〇〇 キャラカク」などで検索すると、もしかしたら、先人たちがエネルギッシュな狂気に身を任せて書いたオーダーシートの産物が出てくるかもしれないのでお試しあれ…最高におもしろいです。
同じ人物でオーダーしても、それぞれの解釈を元にオリジナルで作ってくださるので、千差万別なカクテルになるはず。
ひとりでも多くのオタク、試して私に報告してくれ〜〜!!!
「燃えよ剣」公開間近!山田担出陣式
どうも皆さま、りらです!
いつも私のTwitterを覗いてくださっている方ならば、この時期に記事を出すということは、無論、あの話であろうと、お察しくださる、と思いますけれども(読点がキモいのよ)
沖田総司の話をするぞ
もう今、震えている。沖田総司、この字面に弱い。「田」の文字はけしからん。山田涼介、おい聞いてるか、好き。
とりあえず原作を貼っておきます。一緒に読みましょう。
2019年に「燃えよ剣」のキャストが発表された翌日、『山田くんが新選組をやるんだー!沖田総司って薄命の天才剣士だ、たしか!』と息まいて大学の図書館で「燃えよ剣」を借りてきて一度読んだ感想。
なんかよくわかんねえな
そもそも語彙がむつかしい。あと幕末の知識が皆無なので、敵対関係を俯瞰で理解することもできなければ、「ああ、なんとなくあのへんか」と時代背景を思い描くこともできない。
とぼとぼと本を返却しに行き、なんとなく山田くんはプリティーキュートな天才剣士の役をやるんだな、ということにしておいた。
しかし
先の記事をご覧いただければわかるのですが、ひょんなことから、この後同じく司馬先生の作品である「新選組血風録」
新選組血風録 新装版 (角川文庫) | 司馬 遼太郎, 蓬田 やすひろ |本 | 通販 | Amazon
を読んで、私はすべて『わかって』しまったのである。そしてこれと同時に、いつも飄々として掴みどころのない一番隊組長沖田総司に密かに懸想する六番隊所属イマジナリー隊士の人格を生み出してしまった。今このブログを書いているのは彼です。
『わかって』しまった後に改めて「燃えよ剣」を読んだ時、あまりの美しさにのけぞった。
理解の及ばないことを遠ざけた怠慢と愚かさゆえのタイムロス……。
今では正直、「燃えよ剣」に死ぬほど惚れている。
司馬先生の恋人になって、「今どんなの書いてるの?」って探りを入れて、担当編集さんよりも早く「燃えよ剣」の原稿を読ませてもらい、ひとりで散々味わい尽くしてから事故を装って庭で燃やしてしまいたい。
司馬先生の美文の粒子をキメずに映画を観に行くのは正気じゃありません。
さて、一旦コロナによって公開延期となってしまった「燃えよ剣」ですが、現時点では2021年10月15日に公開される予定になっています。
(大事な話なので叫びました)
となると今から日が無い。
山田くんがどこかで言っていたように、本作はただでさえ数多の人間や権力、時勢が入り組んでいるのに、二時間前後の映像(しかも顔良しの渋滞)におさめられようもんなら間違いなく初見殺しです。
「私が先頭で行きます」という沖田組長の前に転がり出て盾にならねばならない我々としては、『話についていけなくなった(汗)』『なんかよくわかんない(笑)』などと焦ったり笑ったりしている場合じゃないのである。気合入れてこ!!!
というわけで、私のように
・新選組含め、幕末の知識に明るくない
・山田涼介の沖田総司が目当てで観る
・ストーリー展開に翻弄されずに山田くんに集中したい
・山田涼介が好き
・山田涼介が好き
・山田涼介が好
な方々は一旦集まって、情報の整理・復習パーティーをしようよ♪というのがこの記事の趣旨です!
※以下、やむを得ずいくつかの文献の一部分を引用することがありますが、それぞれの詳細は当記事末尾に明記いたします。
「燃えよ剣」とは?
まずは映画の公式サイト(ABOUT THE MOVIE|映画『燃えよ剣』公式サイト 2021.10.15 FRI (moeyoken-movie.com))からあらすじを引いてきましょうか……
武州多摩の"バラガキ"土方歳三は、「武士になる」という熱い夢を胸に、近藤勇、沖田総司ら同志と共に京都へ向かう。徳川幕府の後ろ盾のもと、芹沢鴨を局長に擁し、市中を警護する新選組を結成。土方は副長として類まれな手腕と厳しい法度で組織を統率、新選組は倒幕派勢力制圧に八面六臂の活躍を見せる。お雪と運命的に出会い惹かれあう土方だったが、時流は倒幕へ傾いていきーーー。
-----------------------------以上、引用
無駄が削ぎ落とされ、引き締まったあらすじ説明だね…。そりゃそうだ、公式だもの。
ある程度詳しい人ならこの時点でストンと腑に落ちて、「おもしろそう」と原作を読み始められる。
だがしかし、私は違う!!!(威張るなよ)
そもそも当時の時代背景としては、ちょうど、浦賀にペリーが来航したころ。
幕府は悩んだ。このタイミングで満を持して開国すべきか、これまで通り鎖国を貫くべきか、グズグズしていた…。結果、外交関係の重要なことを朝廷に相談せず、勝手にハンコを押してしまったりね、焦りが見える。
無論、当時の日本国民全員が100%幕府ラブ♡なわけはなくて、むしろ幕府に恨みを持っている人、朝廷を無視するかのような幕府のやり方に辟易している人、なんかも多いわけだ。
そこで。いつの時代も過激派は存在しているので、当時は長州藩・水戸藩を筆頭とする"尊攘派"たちが、尊王(天皇を敬い)攘夷(外国人を打ち払う)の運動を起こしていた。
京都の町では彼ら尊攘派の過激な活動が目に余り、町の治安を守る「京都所司代」などの力だけではもはやどうにもならない!
そんなさなか、朝廷と話し合いをするために京へ上ることとなった14代将軍家茂の護衛が募集され、それに応じたのが土方たちというわけである。
しかし蓋を開けてみれば、土方たちが参加したのがとんでもない裏切り集団(隙をついて江戸へとんぼ返りし、この機に乗じて幕府を転覆させてしまおうとしている)であることが明らかになり、土方たちは芹沢一派と共にインチキ護衛隊を抜け、京に残ることを決意。始まります、新選組……。
つまり本作は、自由気ままに生き方を選べない『身分制度』の根強い時代において、その高い壁をよじ登って「百姓」から「武士」に成り上がっていく泥臭くも華々しい男たちのギンギラギン話とも言えるし、たとえ『勝てるわけがない』とわかっていても、己の誇りや美学に急き立てられて滅びへの一途をひた走っていった男たちの哀しい物語とも言える。
彼らが最後まで命を賭して守り抜いた幕府の末路を、我々は教科書を開かずとも知ってしまっていますね。
どう?最高の顔良し連中の腰にしがみついて沈みかけの船に乗り込み、京へ旅立つ準備できた?!!?!??
ちなみに、我らが山田くん演じる沖田総司は、岡田師範演じる土方歳三の同志であり、血よりも濃厚に繋がれた弟であり、魂の一部です。
「沖田総司」を知る
まずは沖田きゅんの基本情報…Antipastoから参りましょうか……いただきます♡(食うな)
<生まれ>
沖田総司きゅんの幼名は「惣次郎」(当時の書状などで数通りの漢字表記が確認されていますが、ここではこれでいきます。漢字にはさほどこだわらない時代だったよう)。
奥州(現在の東北地方)白河藩の御徒士(それより一つ下の身分の「足軽」という説も)の息子として、江戸の白河藩邸(現在の西麻布あたり)で誕生。
お姉さんが二人。そのうちのひとり、お光さんは今回も登場するかな。
総司くんが幼い頃に両親が相次いで亡くなったので、彼はほとんどお姉さま方に、とりわけ長女のお光さんに育てられたといえます。彼女はわずか13歳で結婚し、赤ん坊だった総司くんの面倒をみていたよう。
家長であったお父さんが亡くなった時、本来なら長男の総司くんが家督を継ぐべきところを、彼があまりに幼すぎたので、お光さんの婿である林太郎さんが沖田家を継ぐことに。
ほどなくして沖田家は白河藩を脱藩することとなり(これも諸説あり。林太郎さんが定年=当時40歳間近で突然脱藩したという説も)、途端に貧乏になりましたが、総司くんは末の弟ということもあり、お姉さま方に愛情を注がれて、大切に育てられたようです。
林太郎さんが近藤道場(=試衛館。勇さんの養父が運営)の門人だったことをきっかけに総司くんも道場に出入りするようになり、近藤さん、土方さんと宿命の出会いを果たします。
やがてお光さんに長男が生まれたことで、跡継ぎ問題が複雑化。本来の跡継ぎは本流の長男総司くんに決まっているんですが、一旦林太郎さんが継いでしまっていますから、林太郎さんに長男が生まれた以上、家督は総司くんには戻らないということなのだろうか……厳しいね、当時の相続問題。
この頃総司くんは、半ば厄介払いのような形で、正式に近藤道場へ預けられます。
家族仲が悪かったとか、お姉さん夫婦に無下にされていたなどという記述はないものの、家ではなんとなく宙ぶらりんな立場だったのかもしれませんね。
<役割・立場>
新選組における公的な立場は「一番隊組長」。
新選組の隊士といえば腕が立つのは当たり前ですが、「一」の数字通り、中でも「一番隊」は特に粒揃いだったようです。
その一番隊を束ねる組長という立場なので、必然的に平隊士全体に広く目を配って統率する役目も負っていたことが窺えますね。
隊のツートップである近藤さんと土方さんが腹の底を全部開け広げて見せる相手は首尾一貫して"同門"の天然理心流メンツ(沖田きゅんはこれに含まれている。この時代は剣術の流派が思想や振る舞いを分ける時代だったので、狂気的なまでの同門意識が根付いているのです。しかもこの流派に限っては、血縁によっても固く結ばれています)のみに限られるので、特別に内密に運ばなければならない件では、沖田くんが情報収集役も務めることがあります。
二人からこっそり直々に指令を受けて、敵だろうが何だろうがターゲットの懐に潜り込んで本音を仕入れてくるわけだな。本人曰くあまり性に合わないようで、人の非違を見張るのは好かないらしい。単に人を観察して面白がったり愛おしんだりするのが好きなようです。
あと、これは意識下のことなのかそうでないのか、誰の懐にでも易々と入り込んで胸の底の本音を聞き出し、自分なりの鋭い考察を加えたうえで、きわめて明るくにこにこと土方さんたちに報告する。これが制裁(おおかた、暗殺や切腹です)への決定打になったりするんだよね……さながら、いつも絶妙に的を射たヒントを落としていく舎弟キャラ。沖田きゅんを純粋に信用してつい本音を漏らしてしまった人からしたらたまったもんじゃないが、沖田きゅんは基本的に人を嫌わないので、悪意はないのである。
みんなも沖田きゅんに話しかけられたら気を付けるんだよ、うっかりアカンことを口走らないように。
それから、バチボコストレス溜めまくりの鬼の副長土方兄さんの心理カウンセラーみたいなのもやっている。普段は胸のうちを迂闊に漏らせず常に気を張っている土方兄さんが、なぜか沖田きゅんの前では気を緩めるんだよね。はっきりと「この若者(沖田きゅん)にだけは、肚の中のどういうこともいえるのである」(①p.395)という記述がある。
「ねえねえ、あれちょっと変だと思わない?」「総司、これどう思う?感想聞かせて」「総司、俺、好きな人ができたかも」など、終始こんな感じ。あんたらJKなのか?というかもしかして、沖田きゅんがおじさんをJKにしてしまう…?
<性格・特徴>
◆剣の天才
どういうわけか、何人斬ろうが返り血を浴びないらしい。土方兄さんに「鬼の申し子」とまで言われている。
沖田きゅんの着物に血がついていたら、それは敵のものではなく自分の喀血であると考えるのが妥当。
沖田の三段突きというのは有名で、三度の突きが一度に見えるということらしい。つまり「あっ、突き食らった…!」って思った頃には既に三度突かれて死んでいる。かっこいい何それ……
そしてなんと、高まることに…おそらく沖田きゅん、自分が天才であるという自覚がある、多分。大っぴらに見せびらかすわけではないけど、純粋に「剣でいちばんになりたいなあ♡」とぼんやり夢想しているその奇妙な余裕とか、最前線に躍り出て大胆に斬り込む軽やかさから香り立つ揺るぎようのない自信とか…あ、こいつ、そもそも凡人が一生かかってもたどり着けない領域からスタート切って、とっくに何千里も先を走ってるな…って鳥肌が立つ描写がある。
山田くんも、無論努力の人ではあるけれど、自分に天性の魔力があることを知ってしまっているよね…ぽやぽやしておいて突然ぎゅんぎゅんに腰振るから…けしからんなあの男。
◆ふとした時に品がある
お江戸の由緒正しい家でお姉さま方に囲まれて育ったから、言葉や振る舞いに品がある。清潔感もありますね。
不審な人に「黙ってついて来い」なんて荒っぽいことを言われたら「どこへです」「あなたは、どなたです」などと返すんですよ。本当に人斬ってる人?
品の良さに定評がある山田くんはこの点でも適役です。
でも骨の髄まで江戸っ子なので、言う時はこてんぱんに言う。口下手な土方さんなんかは言い返す暇を与えられずいつももごもごしている。あれ、突然お口が悪くなっちゃうところも完全に山田くんじゃん。
◆美貌
なんかもうとにかく誰がなんと言おうとぶちくそ可愛いらしいんですよ。
沖田総司がめちゃくちゃ可愛いなんて史実は無いんだけど、司馬先生はそういう設定で書いています。ありがとう司馬先生、おかげで山田涼介がキャスティングされました。
なんてったって、「ちょっと色小姓にしたいような美貌」だそうですからね。色小姓というのは、もちろん小姓として武将の身の回りのお世話をすることに加えて、寝間で女性の代わりもする少年たちのことですよ。とんでもないことになってきましたね。なんか気まずい雰囲気になってきたので話を戻します。いきますよ!!!ほら集中して!!!(ビンタ)
「沖田は、可愛い唇でにこにこ笑っている」(①p.64)
「沖田総司は、可愛いあごをひいてうなずいた」(①p.122)
「沖田は可愛く小首をかしげた」(①p.177)
いや、大人の男性にこんなに"可愛い”連呼することある!??!???!?
ジャニオタ!??!??!
もうどこもかしこも可愛いみたいですね、沖田くん。
「沖田は、微笑をした。その微笑は、……いつもそうなのだが、歳三がこわくなるほど澄んでいる」(②p.82)
「沖田は微笑している。例の、この男特有の陽がそこだけに射しているような明るい微笑であった」(②p.171)
こちらはどちらも下巻の記述なので、病状が随分進行してしまっている頃です。
やつれればやつれるほど彼の微笑は透き通るように薄く、明るくなる。命を諦め始めている兆候だと思う。タイプしながら手の甲で涙を拭いています、今。
この「陽がそこだけに射しているような」って素晴らしい表現ですよね…山田くんを見つめる時いつも「天然スポットライト当たってんじゃん…」って思ってる。ニノさんももう「自発光」呼び定着してるし。山田涼介、太陽よりも長生きするんだぞ…
◆止まらない土方イジり
沖田総司、泣く子も黙る鬼の副長土方歳三を死ぬほどイジる。ジャにのチャンネルの菊池風磨の上を行くんですよ。
江戸の道場のまわりで疫病が蔓延した時、道場には誰も感染者が出ず近所の人々に気味悪がられていたので、近藤さんが土方さんに「お前ちょっと罹ってみたら?(笑)」と提案した場面の一言。
「土方さんじゃ、だめです。……疫病神がしっぽをまいて逃げますよ。土方先生ご自身が、大疫病神でいらっしゃる」『なにをいやがる』(①p.157)
大疫病神…みんな言いたいけど言えないその禁句…
「(土方さんは)日本一の喧嘩師だな。ただおしむらくは、土方さんには、喧嘩があって国事がない」『その悪口、山南敬助からきいたか』「いいじゃないですか」(①p.235)
よかあねえよwwwwwwww
「土方さんは可愛いなあ」沖田は、ついまじめに顔を見た。『なにを云やがる』歳三は、あわてて顔をなでた。(①p.275)
マジで照れてんじゃん。可愛いねえ、二人とも泣
「(尊攘派の計画には無理がある、狂人の集団だという話になって)新選組も、同じですな」沖田はくっくっ笑って、「土方さんなど、狂人の親玉だ」『なにを云やがる』(①p.316)
うん、それもその通りなんだが、そのまま伝えるのはおやめなさいな。
「土方さんのおっしゃるそんな混み入った言葉裏が、近藤さんにはわかりませんよ。あのひとは、土方さんとちがって、根がお人好しだから」『ーーとちがって、とは何事だ、総司』「うふ」(①p.398)
うふって何可愛すぎもう全部許す
「土方さんぐらいのものだなあ、無傷で突っ立っているのは」と、沖田が、くすくす笑った。『ものをいうと疲れるぞ』「疲れませんよ。感心しているんです。見渡してみると、どうみても土方さんだけが鬼のように達者だ」『静かにしろ』(②pp.214-215)
「歳さんごめんなさいうちの総司が…」と思わず本に向かって謝るほどです。
それにしても土方さん、基本的に「なにを云やがる」としか言い返せないの情けないですね…。
◆人たらし
これは血風録の方のエピソードだったと思うけど、一番隊組長ともあろうお方が、道場で普通に平隊士たちときゃぴきゃぴ談笑するらしい。組長としてはかなり若い上に神がかった才能を持っているがゆえに、嫉妬や心無い態度と相対することもあっただろうから、そういう摩擦を最小限にするための策だったのか、それとも、隊士たちと目線を合わせて会話することを純粋に楽しんでいたのか……どちらも真だと思うけど、立場や格式なんかにてんで興味のない人なので、後者の色が強いんじゃないかな。
イマジナリー隊士なんかは、沖田組長の潤んだ瞳を正面から見つめる妄想を散々し尽くしているくせに、道場で横顔に朝日を受けながらこの世のものとは思えない微笑を浮かべて「おはよう」と言われたりなぞしたらその日は一日中顔面紅潮+冷や汗ダラダラですからね。
ちなみに作中に、沖田くんを本気で嫌う人物はただの一人も出てきません。誰からも恨まれるいわれの無い清らかな人だからこそ、後半の病の一件がより切なく胸に迫ります。
◆恐ろしく勘が鋭い
なんか、背筋がゾッとするほど勘が良い。剣の才能なんかはわかりやすいところだけど、不気味なくらいの嗅覚もまた、彼の天賦の才だと思う。
「動物的勘」が優れていると言えば土方さんなんだけど、さすがの彼でさえ異変に気づけていない時も、沖田きゅんだけは当然のように違和感を覚えている。
しかも作中で何度か「沖田は利口」だと述べられている通り、勘で掴んだ尻尾を決して放さないし、振る舞いもしくじらない。
悪事を働くのは人で、時勢に波を立てるのも人なので、要は人の内面の動きをすべて把握できていれば防げる災いというのは数知れないじゃないですか。彼は普段から誰にでも分け隔てなく接して胸の深いところに触れているからなのか、人間の根本を瞬時に見抜いてしまう。彼の前で慌てて素性を隠し立てしようとするのは全く無意味だし、おまけに剣では万に一つも勝ち目がないので、もしもやましいことがあるなら全面降伏しかないですよ!(アドバイス)
◆地獄のような忠誠心
沖田きゅん、本当はお坊っちゃまだし、何も近藤さんや土方さんと一緒になって泥にまみれる必要は無いんですよ。あれほどの腕ならば、道場を開き門人を募ってなんとか暮らしていくことはできるし、じきに可愛いお嫁さんでももらって仲良く老いていくのだろうと…おそらくお姉さま方もそんな算段だったと思います。
でも、出会ってしまった。近藤勇と土方歳三という名の、不器用で気高くて美しい"男"の概念そのものに。
思うに、学問が嫌いでなく物事を俯瞰で眺めるのも得意で、異様に勘が鋭い沖田くんのことですから、幕府が沈みかけた陽であることははなからわかっていたんじゃあるまいか。それでも、愛してやまない兄貴たちが追うものを自分も追いたい。そんな一心で、幕府の最期を看取るお役目を引き受けたのですね。
「私は近藤先生と土方さんの征くところなら地獄でも行きますよ。もっとも、極楽の方が結構ですがね」(①p.166)
「私も」と、沖田はあかるくいった。「命のあるかぎり、土方さんに、ついてゆきます」(②p.86)
上の引用は、京へのぼることが決まった時の言葉。はじまり。
下は、もはや剣も振るえないほど病に侵された状態で、「終わり」へと我武者羅にひた走る土方さんにかけた言葉。
黎明から薄暮まで、沖田くんは土方さんと共にあった。
ここまで、なかなか融通のきかないお兄さんたちに呆れ果てて見捨てることだって、志を異にして道を分かつことだってできたはずなのに、結局片時も離れませんでした。
土方さんが田舎喧嘩を京にまで持ち込み、その長年の因縁の相手と京で相まみえてピンチに陥った時も、熱っぽい体に鞭打って跳ね起きると、「一番隊、私につづいて頂きます」と真っ先におどり出ていくんですよ。
あの時代の志士たちはそれぞれ政治的な思想を持っていて、誰彼構わず熱く論じ合っていましたが、その思想の齟齬によって仲違いをすることも多かったようです。
近藤さんも人脈が広がるにつれだんだん政治を語るようになり、思想に踊らされるようになる。土方さんには"政治"は無いが、己の濃厚な美学がある。
一方沖田くんは色々な知識があるはずなのに明確な政治姿勢を示さない。常に中立的。ふわふわしていて掴みどころがない。
彼は何も考えていないのか…?そんなはずはないだろうが。
彼には急所があります。れっきとした思想もあります。
「近藤勇」と「土方歳三」という二人の生身の人間が、彼の"思想"なのです。
庇護欲と激情と愛欲と憐憫と……ぐっちゃぐちゃな何かが喉元にせり上がってきませんか……
◆女性にはシャイ
「沖田は、まだ女の味を知らない。どういうわけか、そういうことには生まれつき淡いほうらしく、道場の他の連中が岡場所の女に夢中になったりするのをふしぎに思っている」(①p.94)
ありがとうございます!!!!!!
主人公はじめこの作品の男性陣は誠に好色なので、沖田くんも例に漏れなかったらあたくしどうしましょうかと気を揉んでいましたのよ、オホホホ(幕末お嬢様)
基本的に本編には沖田くんの恋愛描写は無い。徹底的な清潔感とピュアっぷり、もはや人間離れした彼には肌と汗の絡み合う艶っぽい演出など不要。わかったか。
ただし、一か所だけ、ほのかに香るところが。
京が気に入らないとぼやく土方さんに向かって、微妙に含み笑いをして見せるんです。
歳三は、この沖田が、相手がたれとまではつかめないが、淡い恋をおぼえているらしいことを、その言葉のはしばしで察していた。(①p.223)
ダーーーーーー!!!!(?)
この恋のお相手については、ぜひ別冊「新選組血風録」にてご確認くださいませ。
そちらにはなんと『沖田総司の恋』という、この世の甘いものを全部煮詰めて仕上げに乙女の涙を一滴垂らしたような静かで切ないエピソードが入っています。初めて読んだ時は食欲無くしました。
おじさんが書いたとは到底思えません。世の中のおじさんがみんな司馬先生だったら良いのに。
ただ、今回の映画にはあまり関係ないと思います。なんてったって、芸妓の糸里ちゃんが沖田くんに思いを寄せているというオリジナル設定がなされているようですからね!!!糸里、あんたがどんな女か、この後赤裸々に書いちまうからね!覚悟しい!
◆いくらなんでも設定盛りすぎ
これは普通に司馬先生への説教。
あのね先生、やりすぎ。
肉体の全盛期に惜しくも病没した薄命の天才剣士というのは若干史実に基づいているが、これに「美貌」と「ギャップ」のエッセンスを勝手に入れてしまったらもう生態系が崩れるよ。事の重大さを理解してくれ。
ひとたび剣でやり合えば、近藤兄さんや土方兄さんでさえ子供扱いされてしまうほど"異様に"強く、一か八かの重要な任務では必ず最難所を受け持つというだけでも失神しそうになるのに……おまけに誰にでも公平に優しく、物事の真理を射抜く稀有な目を持ち、頭が恐ろしく切れて、時には"人"と思えぬほど酷くもなれるなんて………?(ここまで一息)
女を抱くより子供と遊ぶほうが好きな沖田きゅん、人を山ほど斬った後にわらべうたを口ずさみながら屯所へ帰るようなところがあります。
永遠の子供のようでありながら、百年以上生きる仙人のような洞察力を持っているという強烈な矛盾が、彼を「不思議な若者」たらしめる所以です。
嘘もおべっかも脅迫も通じない、もはや遠い未来まで一挙に見通してしまっているのではないかと思えるほどに澄んだ目…ふらついているようで揺るがない心…
近藤さんは沖田きゅんのことを奥様に話した時、あんなに生死というものに悟りきったやつもめずらしい。(②p.320)と漏らしていたらしいのです。
「生きる」、「死ぬ」という重苦しい概念さえ、沖田くんの肩にはそう重くのしかかるものではなかったかもしれません。当時完治することのなかった死病に日々蝕まれていく体を惜しむことなく新選組のために使い続け、その日その日の滋味を味わい尽くすような様子を見ていると、とても「老いた先」に明るい展望を持っていたとは思い難い。体を病んでから次第にああいう諦観を持つようになったか、といえばそうでもなく、あの底抜けに明るい童のような性分はまさに生まれ持ったものであるとの記述があります。
「たとえ卑怯な真似をしてでも生き延びねば…!」と生き恥を晒す者、己の思想に恍惚として無駄死にする者…そんな千にも万にも及ぶさまざまな生き方を目の当たりにしてきて、沖田くんは何を思ったのだろうか。滑稽だと首を傾げることも、とても理解ができないと呆れることもあったかもしれないけど、人の生き死にの方法を総じて尊重することのできる彼のことですから、皆等しく友としていたわり、愛おしんでいたのだろうと思います。
その他の登場人物
幕末は、激ヤバ人間たち(語彙…)が一挙に生まれてしまったとんでもない(語彙……)時代というのは有名ですが、本作には沖田きゅんの他に一体どんな人物が登場するのでしょうか。
当然ながら私はまだ本編を観ておらず、どの人物にどれほど焦点が当たり、どのエピソードが濃ゆく映像化されるのかがわからないので、とりあえず絶対出てくるであろう最重要人物たちだけ拾っておきます。もしかしたら本編には「誰ですか………?」って人が出てくるかもね!それも醍醐味だね!
とはいえ、公式サイトの人物相関図(ABOUT THE MOVIE|映画『燃えよ剣』公式サイト 2021.10.15 FRI (moeyoken-movie.com))が完璧に仕上がっているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。
ここでは各人物と沖田くんの絡みをメインに書いていきます♡
土方歳三(岡田准一)
何を隠そう、主人公です。
武蔵野国多摩郡石田村(現在の東京都日野市)に誕生。沖田くんと同じく幼少期に両親を亡くし、次兄夫婦に育てられます。このお兄さんはかなりやり手の商人でしたが、この人とはあまり反りが合わなかった模様。
商いにはほぼ興味が無かった土方さん、言いつけ通りに実家秘伝の薬を売り歩くついでにさまざまな道場に出入りし、めきめきと剣の腕を上げていきます。どうやら「武士」というものに不気味なほどの憧れと執着を持っていたみたい。
沖田くんにお光さんがいたように、土方さんにはおのぶさんというお姉さんがいました。彼女は既に佐藤彦五郎という方のところにお嫁に行っていたわけですが、なぜか土方さんはおのぶさんの婚家に入り浸り。ただ、これが結果的に土方さんの試衛館入門に繋がります。
この義兄である彦五郎さんも、実は近藤さんと義兄弟の契りを結んでいる仲。新選組結成前後も何かと支援をしてくださる心強いお義兄さまです。
さて、肝心の沖田きゅんとの関係性ですが……土方さんとの絡みについてはここまでに幾度も放出しているのでお分かりかと思います。そんな史実はないようですが、司馬先生の作品においては、二人は格別に仲良しです。鬼の副長と一番隊組長という肩書きを背負っているとは思えないほどに微笑ましくささやかな二人のやりとりに心底癒されてほわほわになっちゃう。
私のお気に入りは、沖田きゅんが恥ずかしがる土方さんを尻目に彼の句帳をパラパラめくり、内心「下手だなあ」とニコニコするシーンですかね。趣味で作っている句を見せるって、相当心開いてますよね。
ところが、予告映像でも沖田くんが読み上げている「知れば迷ひ 知らねば迷はぬ 恋の道」という句を一目見た時、沖田くんはふと真顔になります。(大変な句だな)と思ったみたい。知れば迷ひ、知らねば迷はぬ山田担の道……たしかに、大変な句だね。
二人きりの時は、いつもこんな感じなんですよ。
『隊の者にはだまってろよ。(略)』
「じゃ、私にも云わなきゃいいのに」
『お前だけは、べつさ』
「私だけは別? 迷惑だなあ、訴え仏みたいにされちゃって」
『ふふ、お前にはそんなところがあるよ』
(①pp.465-466)
ここで流れるスパデリ。
なぜかいつもいわゆる「ここだけの話」を打ち明けられてしまう沖田きゅん、困ってるけど嬉しそうで不憫かわいい。
近藤勇(鈴木亮平)
お父さんの久次郎さんが自宅に設けていた道場に招かれて天然理心流の指導をしていた周助さんの目に留まった勇さんは、なんと養子として迎え入れられ、天然理心流の跡継ぎに指名されます。まさかの急展開……!!確かな才能が見込まれたんですね。
当時三男といったら、跡継ぎでもないし、丁重に扱われるわけでもないでしょう。そんな立場だったにも関わらず、立派なお師匠さまの名字をいただいて道場を託されるなんて、百姓ながら幼い頃から軍記物語や武将の武功談が大好きだった勇さんは、どれほど嬉しかったでしょうか。
無論、稽古で出会った土方さんとは義兄弟の契りを交わしているわけですが、沖田くんのことも相当可愛がっています。実力をしっかり認めている上に、実の兄のごとく沖田くんを気にかけ、いつも頼りにしている。京へ上る時に道場まで挨拶をしに来たお光さんは、近藤先生を父と思ってお仕えするよう沖田くんに言い含めています。
余談ですが、近藤さんは顎がガッチリ丈夫で、鯛を食べる時に骨まで炙って噛み砕いてたそうです。沖田組長が言ってました。
あと、近藤さんの唯一の一発芸は、「拳固を口の中に出したり入れたりする」芸です。なんでも、近藤さん憧れの加藤清正もこれができたらしく、自慢みたいです。これも沖田組長から聞きました。『なんじゃそれ笑』って思って試してみたんですが全然無理でした。みなさんもぜひどうぞ。
芹沢鴨(伊藤英明)
芹沢さん…♡新選組の初代局長です。土方さんらに暗殺されます。
史実では出自に謎の多い人物なのですが、司馬先生の記述に則ります。
彼は水戸脱藩浪士で、神道無念流の使い手。かつては狂的な水戸攘夷党「天狗党」で活動しており、強奪や狼藉が積もり積もった末に処刑が決まりましたが、運よく時勢の追い風を受けて名前などの一切を改め、土方らと共に浪士組に参加します。
残忍で傍若無人。人を大根のように斬るのだとか。大根……?怖すぎるので道で出会ったら死んだふりをしましょうか。
彼はとにかく粗暴で豪快な大トラブルメーカーというイメージですね。いつでも酔ってるし。燃えよ剣においては前半で暗殺されてしまいますが、如何せんインパクトが強烈で、忘れられない御仁です。
沖田くんたちの試衛館メンツとは宿も違い、ちょっと距離を置いていたようなので、原作ではあまり絡みが無いんですが、映画では多いみたい…?芹沢さんに肩を抱かれて大路を歩く沖田きゅん……芹沢さんは元々武士なので、同じく武士である沖田きゅんのことを大変可愛がっていたらしい。
「新選組血風録」の「芹沢鴨の暗殺」という章に、かなり良いエピソードがあるんで聞いてください。
沖田きゅんは、大胆でわかりやすい芹沢さんのことが嫌いじゃなかった。むしろかなり好きだったようです。しかし沖田きゅんは新選組のエースですから(山田くんもJUMPのエース♡)暗殺においても重要なお役目を担います。嫌いじゃない人を斬るんだから、さぞ心が痛むだろうと思うじゃないですか。実際、「芹沢さん、可哀そうだな」と言うんですよ。
やっぱり、この子は優しいね…この優しさが新選組にとっては弱みになるかもわからんけど、沖田きゅんは沖田きゅんのままでええんやで♡
「芹沢さん、可哀そうだな」といいながら、この仕事の準備に一番熱心になった。ひどく仕事好きで、凝り性な男なのである。(③p.93)
???
芹沢さんのお部屋にしばしば遊びにいっては、足の動かし具合や部屋の大小、廊下の長さ、行燈の置き場所に至るまでそれとなく検分してきて
「もう大丈夫です。眼をつぶってでも歩けます」
その日を待ちかねている様子だった。(③p.93)
??????
「土方先生、あなたはずるいから。一ノ太刀はご自分がつけるつもりなのでしょう。そうはいきませんよ。私はこれほど検分しているのだから、私に譲っていただきます」(③p.94)
ちょ、ちょっと待ちなよ????(大汗)
意味がわからない。無理になってきた。沖田きゅん、これは一体どういうことなの…?
結果、暗殺は成功するのですが、きっとかなり見応えのあるシーンでしょうから楽しみですね!!!!え、あるよね、芹沢暗殺シーン笑 いきなり近藤さん局長になったところから始まったらどうしよう。
というか、芹沢に扮した伊藤さん、セクスィ……すぎやしませんか????色気大魔神!?予告の「洒落くさいよ君は…」で『もうどうにでもしてェッ!!!!!』って全裸で駆け出しちゃうよね(?)
山南敬助(安井順平)
仙台伊達藩脱藩。個人的に大好きなのですが、この人も出自に謎が多いんです。
学問に秀でていて、文字も上手かったよう。
剣はできて、神田お玉ケ池の千葉道場で免許皆伝。北辰一刀流(水戸学的色彩が濃いので、尊攘思想を刷り込まれている)。
江戸一の大道場(坂本龍馬も同門!)出身なので顔が広く、人脈が豊富。新選組もこの人のおかげで道が開けたこと、何度もありました。でも野生の勘で生きている土方さんにとっては理屈っぽい知識ひけらかし野郎に思えたようで、露骨に毛嫌いされています。
江戸の道場時代から沖田きゅんとは仲良しで、10歳離れた沖田きゅんを弟のように可愛がっていました。政治の話などを噛み砕いてわかりやすく説明してやる事で沖田きゅんに諸々の基礎知識を授けてあげていたのはこの人。
山南さんは沖田きゅんと話していた時、ふと言います。
「私は君と話していると、神様とか諸天とかがこの世にさしむけた童子のような気がしてならない」(①p.414)
これに対して沖田きゅん、「そんなの、ーー」と照れて石ころを蹴るんです。
グォッ………………………(すいません、イマジナリー隊士の中の怪物が暴れて…)
正直山田くんも神様からの贈り物ですからね、というか、神様そのものですからね。
こういう記述を見ていると、つくづくセミオトコを想起しませんか?
山南さん、後に新選組を脱走します。この時沖田きゅん、珍しく沈んだ低い声で土方さんに「大変ですな」と言うんですよ。「いいひとだったですがねえ」と。わかる!?!わかるじゃん!!??!いつもニコニコ笑ってお歌を歌ってみんなと仲良しこよしな沖田きゅんがマジ顔で惜しんでいるんですよ、この人の脱走を。土方さんの定めた最恐局中法度に則れば、脱走=切腹ですからね。山南さんも例に漏れません。
そこで追手兼介錯役に選ばれたのが、なんと沖田きゅんなんです。
誰ですか、こんな非人道的な人事を思いついたのは。土方・サイコパス・歳三さんですか?「お前がいい。山南君と親しかった」じゃないんだよ どういう神経だよ。
それでも隊務には忠実な沖田きゅん、ちゃんと山南さんに追いついてしまいます。
沖田は、だまっている。なぜこの運のわるい仙台人は自分に追いつかれてしまったのかと腹だたしかった。(①p.421)
ああああーーーーーー!!!!!!沖田先生、私が!!私が代わりに!!!そんなつらいお役目、先生にお任せするわけには…!!!(むせび泣き)
井上源三郎(たかお鷹)
近藤道場の年長者、心穏やかなみんなのお兄さんです。泣く子も黙る新選組に、こんな人もいたんですね。先代(勇さんの養父、周助さん)から用人同然の内弟子として仕えていたんだそう。もちろん天然理心流。
実は、沖田くんの義兄である林太郎さんは、この井上さんの実家から婿に来たのです。なんだかんだ遠縁の親戚というわけ。
特段強いわけではないんだけど、剣は着実。強いわけではないとはいえ、新選組の六番隊組長(お気づきでしょうか、イマジナリー隊士はこの人の直属です 優しいので大好きです、井上さん♡)を務めていますから、まともにやりあったら瞬殺ですよ。
近藤さんも土方さんも沖田きゅんも、昔馴染みのこの人が大好きですから、この人がピンチになったら血相を変えて助けに行きますし、心から信頼しています。
原作だとおそらく四十代だったかな…?そんな感じですけど、今回の映画ではあえて、もっと年上の設定にしたようですね。たかおさんは70代。癒し系おじさんキャラなので、とても楽しみ。
永倉新八(谷田歩)
近藤道場の食客(一種の居候。でも日々鍛錬に励み、仕事があれば出向くのでニートではありません)。神道無念流の免許皆伝。
新選組の二番隊組長を務めました。沖田くんが病気で戦線離脱した後は、一番隊も一緒に面倒をみてくれていました。ありがとう。
熱血最強おじさんというイメージ。とにかくめちゃくちゃ強いらしい。沖田きゅんよりもギリ強かったという説もありますが、その領域までいくともはやどちらがどうと順位をつけるのもくだらない。どっちも最強ということでいいと思う。
松前藩士の次男として江戸で生まれ育ったので、生粋の江戸っ子。曲がったことが大嫌いで、周囲の甘言に惑わされて政治思想に染まり始めた近藤さんとは真正面からぶつかり合うこともしばしば。とにかくよく喋ります。
この人が戊辰戦争を生き抜いて口を開いてくれたからこそ、数々の新選組の逸話が現代に伝えられているといっても過言ではありません。
沖田きゅんと仲良くしている様子が具体的に描かれているわけではありませんが、沖田きゅんがこの人から色々教えてもらっているらしいことを仄めかしているので、きっと気軽にお話する仲だったのでしょう。
斎藤一(松下洸平)
この人も謎の多い、不思議な人物です。
とにかく何もかもはっきりわからないのですが、お父さまが明石藩の足軽子孫だったという説があり、そのため一(はじめ)さんも明石浪人とされます。
永倉さんと同じく生まれも育ちも江戸ですが、些細な諍いで人を斬ってしまったことから素性を隠していたようですね。試衛館時代からの古参メンバーという説もあれば、京都ではじめて合流したという説もある。剣の流派も定まっていない。ただめっぽう強く、新選組ツートップである沖田きゅんと永倉さんとも互角に打ち合ったのだそう。永倉さんによると、「沖田は猛者の剣、斎藤は無敵の剣」なんですって。ちなみに左利きです。
とにかく人を斬りたくていきり立っているようなところもありつつ、言葉は少なく冷静沈着に黙々と隊務をこなす人でもあった。
後半はスパイとしても活躍しますが、本当に、最後まで裏切らない人だった。斎藤一は、荒んだ心にじわじわ効くぞ。この男を信じていれば間違いない。
というか松下さん、最近MIU404で知ったばかりですが、イケメンですよね~~私の中の斎藤一のイメージは目つきがヤバい三白眼のキマりきった暗殺者なので松下さんは優しげすぎるような気もしましたが、絶対素敵…このビジュアルで斎藤一なのは天才。涼やかで清潔な色気がある。楽しみなキャストさんの一人です。まあ漏れなく全員最高なのは目に見えてるけど。
藤堂平助(金田哲)
江戸結盟以来の同志です。山南さんと同じ、北辰一刀流。「絵にかいたような好漢」で、近藤と土方からも身内のように愛されています。
ただ、近藤さんも土方さんも重要なことは天然理心流にしかシェアせず、内輪だけでこちゃこちゃやりたがるので、どこかよそもの扱いされ続けることに嫌気が差していたみたい。これは正直同意よね…。
しかも塾風のせいで、もともと勤王(「尊王」と「勤王」の違いについても少し勉強しましたが、あまり話が長くなってもアレなので…とりあえず天皇を敬う思想ということで…)の気(け)があります。楽天的で気の良い弟分のように見えて、実は過激な思想家だったようです。彼はひと悶着起こしますよ~~
ただ、沖田きゅんとは歳が近く、若者同士ふざけあったり、チャンバラごっこをしたりしていたというエピソードがあります。
金田さんは元々剣道をされていたそうなので、本格的な殺陣に期待ですね。そして顔が良いんですよねこれがまた。
山崎烝(村本大輔)
個人的に大好きなキャラクターです。監察方という役割で、いわゆるリサーチ係、縁の下の力持ちという立場なので、剣を使う場面はありません。とはいえ、剣の腕も相当なものですよ(見たことないけど)。
大阪の鍼医の息子なので、普通の町人姿が板についているのだとか。これもあって、新選組の仕事においては、手練れの剣士たちが突入する前に現場を巡回したり、さりげなく手筈を整えておいてくれたりするわけです。
史実とは違うようですが、「燃えよ剣」における最大のご活躍はやはり池田屋でしょうね……近藤さんらが討ち入る前に、この山崎さんが薬屋に化けて池田屋に潜伏していたのです。
一応薬屋という体ではあったけれど、忙しくなると臨時の配膳係を買って出て女中たちに指示を出すし、適当な理由をつけてターゲットたちの刀を回収して仕舞ってしまい、新選組の戦闘に強い追い風を吹かせるし。おまけに近藤さんたちが入りやすいよう鍵まで開けておいてあげる徹底っぷり。
とにかくなんでもできるし、気が利く。
しかも、だ。組織って上下関係があって、必ず下から順に話を通すことになっているじゃありませんか。職場の先輩が直属の上司をシカトして一番上の上長に退職を申し出てほうぼうから袋叩きにされていたのを思い出します…まあこれは余談。すみません。
山崎さんは、重要な情報が手に入った時、いきなり近藤局長に通すようなことはしません。
まずは土方先生。この順序は絶対に乱さない。
これが、土方先生にも重宝される理由です。超仕事ができる。どんな組織にも必要だ、山崎さんのような人間。こんな人になりてえもんだなあ…!
元々器用でコミュ力は高いイメージでしたが、原作では聡明かつ温厚、どちらかというと寡黙な印象でした。しかし、今回の映画の山崎さんはとにかく喋るようです。マシンガントークが見せ場なのだそう!しかも井上さんとお喋りするシーンもあるみたい!どうしよう可愛すぎる!沖田きゅんもそこにちょこん♡と混ぜてやってくだせえ!
市村鉄之助(森本慎太郎)
土方さんに「お前、沖田に似ている」と言われたことを自慢に思っています。
(沖田くん本人が見たところ、別に似ていないらしいです)(森本くんと山田くんも特に似ていない)
それ以来沖田きゅんに並々ならぬご恩とご縁を感じ、大阪から江戸へもどる船の中ではつきっきりで沖田きゅんの介抱をします。
沖田きゅんは若いこの子を心底気にかけて、自分の世話ばかりさせるのはあまりにも酷だと心を痛めていました。歳三さんに「あのひとを……寄せつけないでくださいよ。どうも伝染(うつ)りそうな気がして、気が気でならない」(②p.366)と。それを歳三から聞いた鉄之助は感激のあまり身を震わせて声を上げて泣いたらしいのです。この頃から、実のお兄さんよりも沖田先生を崇拝するようになるのが可愛い。実のお兄さんからしたら笑いごとじゃないが。
※ちなみに、山田くんと森本くんは「一緒のシーンは無かった」そうなので、以上のやりとりはおそらく映画に登場しません。は?
お雪(柴咲コウ)
大垣藩の江戸定府で御徒士をつとめていた男の妻。当時は単身赴任が普通でしたが、お雪さんはちょっと変わった女性で、旦那さんについて京へ。
お雪さん、画才があります。京へ上ったのも、絵を学ぶためだったとか。
夫が病死してからも、裕福な実家からの仕送りもあるため、江戸へ帰らずなんとなく京で暮らしていました。歳三という"運命"を、本能が待っていたのかもしれませんね。
ある時因縁の相手と派手にやり合って結構な深手を負った土方さんが偶然転がり込んだのが、お雪さんの家でした。
個人的に、甲斐甲斐しく世話を焼いて男を赤ん坊のように扱う女が大嫌いなのですが(突然のヘイト)なんとお雪さん、血まみれの土方さんの手当てをしません。必要なものを過不足なく用意してやり、傷を弄ることもなくひっそりと遠くから見つめている。
ックゥ~~~~武家の女だぜ~~~!!!!!!
普段ならすぐに体を求めて終わりにしてしまう土方さんも、この人にだけは格別な感情を抱いてしまい、手も握りません。たびたびやって来ては故郷の昔話を聞いてもらい、おしまい。お雪さんも大変聞き上手で、きちんと中身を理解しながら聞いているので、次第に土方さんの故郷の家族のこともすっかり覚えてしまいました。
それにこの女性、戦に行った男を家で待つということをしません。
あてもなく、一人でついて行ってしまいます。「行かないで」と泣いて引き留めるでも、せめて子供が欲しいとせがむでもなく、『来ちゃった』を繰り返します。
「もう二度と会えないのですか…?」という受け身の姿勢ではなく、『相手の命が此岸にあり、自分がこの足であの人のもとへ赴く限り、会える』と考えているのであろう、行動的な人。
数多の女を泣かせてきた土方さんにとってこの人だけは『特別』だったわけがわかるような気がします。
お雪さんは、傷の治療中の近藤さんや結核療養中の沖田くんの所へもひそかに見舞いに行き、さりげなく梅の枝を活けています。愛おしい土方さんの大切な人たちですものね。でも、そのことを土方本人に言わないばかりか、近藤さん、沖田くんの前で土方さんの噂をすることもなかったようです。
静謐な強さを持った、一流の女だと思う。憧れの人です。
糸里(阿部純子)
人物紹介「沖田に想いを寄せる芸妓」
おおっと…???そんな人いたかいな??あたいの目が届かんところで何がおっぱじまっちゃってるわけ!??
原作にほぼ登場しないんですよ、彼女。芹沢鴨暗殺の夜に、芹沢の腹心(お世話係兼勘定方)のおじちゃん、平間さんと同衾していたはずです。
もうね、あたいはこの女のこと何も知らなかったもんだから、浅田次郎先生の「輪違屋糸里」を読んだわよ。
正直、司馬先生以外の先生の著作から人物像をくり抜いてくるのって意味あるの…?という疑問が拭えないので、ここから先の糸里ちゃんトークはあくまでも参考程度にとどめておいてください。きっと彼女は、今回の映画でオリジナルの役どころを与えられたキャラクターだと思うから。
「輪違屋(わちがいや)」というのは京都島原の置屋(芸妓さんたちを抱えている家)です。お客さんからお呼びがかかると、ここからお座敷(揚屋と呼びます)へ出勤します。
糸里ちゃんは大変な別嬪さんで、芸事に関しても呑み込みが早く、若くして「天神(てんじん)」の位についています。響きが明らかに神々しいのですが、これは最高位である「太夫(こったい/たゆう)」のすぐ下。
私なんかは、最高位の遊女・芸妓と言ったら「花魁(おいらん)」という呼び名が馴染み深いのですが、どうやらこれは江戸吉原遊郭の遊女の呼び名なようで。
糸里ちゃんは、「私たちが売るのは芸のみ」というような発言をいくつかしていますので、島原の芸妓さんたちは今で言う"女優"のような位置付けでしょうか。このあたりはかなり複雑みたいです。吉原にも「太夫」を名乗る遊女がいたり、吉原も島原も提供するサービスは結局同じという説もあったりするので…ところでどうして私はさっきから本筋から逸れた話を延々と垂れ流しているんだ………??
さて気を取り直して小説の話に戻ります。
この作品、糸里ちゃんが敬愛するお姉さん太夫が芹沢さんに無礼打ちにされる大事件から幕を開け、糸里ちゃんにはまもなく「太夫上がり」の話が舞い込みます。
そして、糸里ちゃんの想い人はまさかの、沖田くんではなく土方さん。全然話が違う、、!泣
(輪違屋糸里の土方さんは世の最低男を一緒くたにして雑に煮詰めたようなまじクソ男で、擁護のしようがありません。岡田師範の土方さんは観る前から既に好きですが、輪違屋糸里の土方はただただ死んでください)
そう、土方さんが好きという設定ではあるんですが…芹沢鴨暗殺の時は芹沢の腹心平間おじちゃんと寝ていただと、、??!どういうことなんだよ糸里…「輪違屋糸里」はまさにここの部分の奥行きを創作した作品なんですよね。
ちなみに、司馬先生の「新選組血風録」でも、芹沢鴨暗殺時、輪違屋の糸里が平間重助と同衾していたという記述があります。ちなみに、斬られずに逃げています。
新選組は『絶対に女を斬らない』という信条を持っていません。男を斬る時に比べれば若干情けはかけるかも知れないけど…芹沢の暗殺は長州の仕業ということにして闇に葬る計画だったわけなので、口封じのためなら何だってするはず。いかに逃げ足が早かろうと、天下の新選組が女2人(糸里ちゃんと、もう1人の芸妓)を取り逃すわけがない。斬り損じることも考えられない、だって、こっちは沖田総司がいるんですよ。
あれ………もしかして、これなのか…?ここにドラマが生まれるのか……??沖田きゅんは糸里を見逃してやるということ…??
糸里ちゃんが沖田きゅんに想いを寄せているならば、芹沢の元で沖田きゅん以外の男と同衾していて沖田きゅんに斬られかけるってきつすぎませんか、、糸里ちゃんに何の罪があるってんだい…??
余談ですが、「輪違屋糸里」では、芹沢暗殺やら諸々の血生臭い仕事が片付いたあと、世紀のクズ男土方を清々しく突っぱねて『太夫』として一花咲かせる気高い人なのですよ、糸里ちゃん。
沖田総司の生涯
毎度同じことを言ってかたじけないんだが、公式サイトの年表が完璧である。
ABOUT THE MOVIE|映画『燃えよ剣』公式サイト 2021.10.15 FRI (moeyoken-movie.com)
ただこちらはあくまでABOUT HIJIKATAであって、我々にとっては不足がありますので、「燃えよ剣」と「新選組血風録」をマッシュアップして、ざっくりしたABOUT OKITA♡を拵えていこうと思います。
1842年
総司きゅん、江戸の白河藩邸にて誕生
1851年
試衛館入門
2月 浪士組に参加。土方らと共に京へ
9月 芹沢鴨暗殺
6月 池田屋事件 喀血
7月 蛤御門の変
1865年
1867年
12月 戦線離脱 大坂へ護送
1868年
1月 幕府軍艦富士山丸にて江戸へ
5月 千駄ヶ谷の植木屋にて病没
沖田総司、生年月日さえ明らかになっていません。もはや実在したかが怪しい。
こうして見ると、沖田きゅんの生涯って異様に短いな…と思ったんですが、私の生涯の年表作ったらこれよりスッカスカになること間違いなしでちょっと笑ってしまった。戦に行っていないのでね!!!
それと、ちょっとここで、喀血の件についてひとつ喋りたいことがありますのでね…道を開けてください…
池田屋事件の戦闘中に沖田きゅんが喀血したという説は、子母澤寛先生による創作と推定されています。
喀血というのは労咳における末期の症状で、これが起こると余命は1年ほどと言われているようで。それにも関わらず、沖田きゅんは喀血後も(寝込む日が多くなったとはいえ)蛤御門の変に出陣し、山南先生の介錯もやり遂げ、時々土方さんをおちょくってきゃぴきゃぴし、4年も生きている。
加えて、生き残りの永倉先生は、後世に残した「新選組始末記」において、池田屋の戦闘の最中に沖田が「昏倒」したと述べるにとどまっています。
池田屋事件の頃は蒸し暑い夏の盛り。剣の達人と称される藤堂くんが珍しく眉間に強烈な一撃を食らってしまった原因は、あまりの暑さに耐えかねて額の鉢金を一瞬外してしまったためと言われています。狭い室内で繰り広げられる激しい戦闘の渦中にあった沖田きゅんが熱中症の症状で体調を崩してしまった、というのは信憑性があるのではないでしょうか。
まあそれは良いとして、「創作」って素晴らしいですよね…
我々も、単なる熱中症でふらつく沖田きゅんよりも、「コホッ……ゲホッ………」と咳込みながら天稟に満ちた乱れの無い剣で敵を斬り進める沖田きゅんが見たいよ、そりゃあ。
他作品の沖田総司
最初はあくまで「司馬先生の著作しか読まない!」と操を立てていたのですが、映画の情報が流れてくるにつれ、どうやら純潔性は薄いようで、原田監督独自の解釈・オリジナルシーン等がかなり多そうなんですよね。
そうとわかれば、もはや沖田総司というキャラクターそのものに心底惚れてしまっている私には、本屋に走ってひたすら彼の解像度を上げる他に術がないのである。叩いて打って研いで…まるで刀匠ですよ。「燃えよ剣」というタイトルがありますが、「剣」というのは物質としての剣の意に留まらず、彼の男たち自身の肉体や美学そのものをも指すのではないかと思うねえ。
散々色々読み散らかしましたが、私が特にフイーーーーーーーッ♡と鼻息を荒げてしまった選りすぐりの書籍を2つご紹介します。
①輪違屋糸里
先程糸里ちゃんの分析において先走って紹介してしまった作品です。
「女たちの幕末」、「女たちの目に映った新選組」というのがテーマでしょうか。
新選組関連書籍の中では珍しく、女性たちの視点で物語が語られます。
芸妓の糸里ちゃん、そのお友達の芸妓、吉栄ちゃん(もう一人、芹沢鴨暗殺の時に逃げおおせたひとです)、芹沢鴨の愛妾であるお梅さん、近藤一派を世話していた八木家の奥方おまささん、芹沢一派を世話していた前川家の奥方お勝さん…彼女たちの目に映る新選組、恐ろしくも愛くるしいのです。
先に述べたように、芹沢先生がある太夫を無礼打ちにするシーンから幕を開け、土方さんたちによって芹沢先生が暗殺されるまでが緻密に描かれています。まあいわゆる、芹沢先生がメインキャラクターというわけ。そして、粗暴で手のつけられない酒乱という従来のイメージを覆す芹沢像をこの作品は堂々と提示してきます。
芹沢先生のお育ちの良いこと、案外気が小さくて女性に気圧されると縮こまってしまうこと、美しいものを愛でる確固たる審美眼をお持ちなこと…こんなにも魅力的な人だとは思わなかった。ぜひ一席設けて、じっくりお話をさせていただきたい。なんだかそんな風に思えるほどいじらしい人物でした。好きになってしまいますよ。面白いのが、このお人柄はすべて、新選組に絡んだ女性たちのフィルターを通したものであるということ。女性たちって、芹沢先生の狼藉によっていちばん迷惑を被っていそうじゃないですか。そうじゃないんだよなあ、これが。むしろ芹沢先生を泊めていた前川邸の奥様お勝さんなんて、彼がひっそりと庭でお花を育てていたり、責め立てると案外シュン…と小さくなってしまったりする面を見ているから、窮地に陥った時に庇い立てるような仕草をも見せます。
そしてこの作品、素晴らしいことに、肝心の大山場、クライマックスである芹沢鴨暗殺事件の章が、沖田きゅんの視点で語られるのです…。
なんという、お贅沢…はじめて読んだ時自分の妄想かと思いましたよ。
この作品でも、沖田きゅんはなんとなく芹沢先生が好きなんですよね。
芹沢鴨の暗殺はそもそも、彼をベロベロに酔わせた状態で決行する算段になっていましたから、決行の夜は隊士全員総揚げの宴が催されます。ここでの芹沢さんと沖田きゅんのやりとりに胸がギュッッッ……………となって2時間ほど苦しみましたので、みなさんにも苦しんでいただきたく、ここに引用させていただきます。
(芹沢先生に呼ばれた沖田きゅん、芹沢先生の酌を受ける)
盃を干すのを待って、芹沢は己の顔を招き寄せた。それから濁声をひそめ、耳元に囁いたのだ。
「沖田、おぬし胸を病んでおろう」
己は驚いて、思わず近藤先生の横顔を窺った。誰も知るはずのないことだった。
「近藤君も土方君もそうと察してはおるまい。だが、それがわからぬようでは大将は務まらぬ」
「ご内密に」と、己はひとことだけ囁き返した。芹沢は肯いた。
「お務め第一という君の心掛けは有難い。まわりに心配をかけとうないという気持ちもわかる。折を見て養生ができるよう計らうでな。ともかく今は無理をするな。君の剣は新選組の宝だ」
(④pp.236-237)
シーーーーーーーーン………………誠に死ななあかんか、芹沢先生は………?んなこたァあるめえよ…なんとかする。ワシがなんとか救うよ…お梅ちゃんと一緒に辻籠に乗せて、どこか遠くにお連れするから、誰にも知られずにひっそり生きてくれんかね……でもきっとそういうことじゃないんだよな、あの血と汗にまみれた乱世だからこそ燃え上がる恋情なのであって…というか山田担しか読んでいない記事でこんなに長々と芹沢先生の話をしてすみませんね……
そして、計画通り芹沢先生を斬り、喀血し(この作品では、ここで喀血するんですね!都合よく使われる喀血シーン…)、満身創痍で庭に寝転んだ沖田きゅんは、雨に洗われた刃に自分の顔を映して飽かず眺めるのです。
己のまことの強さは、斬られた者にしかわからぬのだから、実は誰も知らぬのと同じだ。この刃に映るものは、千年の武士の世に突然顕れた、奇蹟の剣士の顔。そして人ならぬ鬼の貌。
(④p.291)
鋭い自覚ーーーー!!!!自意識ーーーー!!!!歴史上の名だたる剣豪たちと剣を交えても、きっと負けない(なぜかちょっと切なそう)、とか思ってるんですよ。
あまりにも強すぎる、天才ゆえの苦悩。
別に、「誰かいい加減俺を負かせてみろよ!」とかキモいこと思ってるわけじゃないんですよ。泣く子も黙る新選組の沖田総司が他人の剣に倒れるなんて、まっぴら御免でしょう。
ただ「孤独」は感じていると思います。肩を並べて切磋琢磨するライバルがいないって、寂しいことです。ヘッドピンのようにひとりで一歩前に出て、前にも横にも誰も存在しない状態で観客を魅了する山田くんの姿に重なるよ…。
司馬先生の書籍が執着と美学の煮詰まった漢の匂いに酔いしれるためのものなら、こちらは、あたたかい人情と華やかなおしろいの香りに呑まれるような作品です。
それにしても、やはり歴史というものは、男と女の両方が絡まり合って紡ぎ出すものなんですね。司馬先生の作品を読んでいると、女性たちは男たちに翻弄されたほんの付属品のような気もしてくるのですが、実際のところ豪胆な剣士たちの肝を握り締めているのは彼女たちなのかもしれません。
②新選組 幕末の青嵐
司馬先生の「燃えよ剣」がとてもお好きだとのことなので、本作執筆にあたっても、大いにインスパイアされているはずです。
こちら、時系列に忠実で、ちゃんと時は進んでいくのですが、エピソードごとに語り手が変わる形式なんです。おもしろいでしょ?芹沢鴨が語る壬生浪士組、藤堂平助が語る池田屋事件、など。おもしろいでしょ??!?ちなみに沖田くんは、自分の幼い頃のエピソードや山南先生の脱走事件などの語り手を担当しています。
沖田くんにまつわる表現の中で特に感銘を受けたものがあるので、ご紹介します。
私の周りはいい人ばかりだな、と惣次郎はしばしば思う。(略)世の中は、ぼんやりと眺めているだけで十分に面白かった。試衛館に住み込むようになって、剣術に明け暮れて、多くの剣客たちに出会って、よけいに視界に入ってくる景色が明るくなった。言葉がうまく通じないときは多いけど、言葉がなくともわかり合える人が、剣をはじめて随分増えた。たとえ不運でも決して不幸ではない、ということを自分でちゃんとわかるようになった。
(⑤p.40)
う〜〜〜〜〜〜〜〜ん、沖田総司の人生……(恍惚の唸り声を上げながら奈落の底へ)
彼は確かに、幼い頃に両親を亡くし、貧乏暮らしも経験して、家にもなんとなく居場所が無くなるという、いわゆる"不遇な"子供時代を送ったかもしれません。それでも、"不幸"ではない。彼にとっては、木々のざわめきや小鳥のさえずり、道場で剣が擦れ合う鋭い音、隊士同士のくだらない小競り合い、土方さんが皆に隠れて紙に筆を走らせる姿、それらすべてが儚く美しく、愛おしく、おもしろいものだった。
たとえ若くして肺を病み、大好きな剣を握ることさえできなくなっても、沖田総司という男は絶望を知らない。「なんて素晴らしい世界なんだ……!」と笑っているんです。
その証拠に、物語の後半、病床の沖田くんを見舞った元祖天然理心流メンツが、いよいよ雲行きが怪しくなってきた幕府の行く末や自分たちの身の上を論じ合っているさなか、暗い話題にふと顔を曇らせてしまった沖田きゅんを見て、井上さんは大焦りするのです。
井上はとっさに、沖田を落胆させてはいけない、と思った。この青年が落胆したら、そのときこそすべての希望が絶たれてしまう気がした。本当に自分たちが終わってしまう気がしたのだ。
(⑤p.465)
すっかり弱ってしまって尚、沖田くんは「希望」の象徴なのだ……この人は『太陽のような人』どころか、日の昇る『東』という方角そのもののような人だ…あなたに会えて良かった…あなたには希望の匂いが、する……(歌い出す私の中の和田アキ子)
というわけで、この作品。
語り手の剣士たちが複雑な内面を吐露しながら時間が進んでいくので、有名な事件がそれぞれ極めて自然な流れで起こります。突発的な激しさは無いけれど、各登場人物や決定的な出来事がすべて緻密な糸で縫い合わされ、緩やかな坂を転がり落ちていくような感覚を味わえます。
新選組血風録がお好きな方には特におすすめ。「燃えよ剣」では内面がクローズアップされなかったミステリアスなキャラクター(齋藤一とかね!)の心の奥底をまさぐることができるんですよ…!キャー!今すぐ読んで!
キャストのこぼれ話
インタビュー記事が掲載されている雑誌類はほとんど読みましたが、最初に言います。内容の濃さの点では「キネマ旬報」の右に出るものはありませんでした。
まあ映画雑誌の代表ですからね…。なんかもう全部ネタバレしちゃってるんじゃないか…?と心配になるくらい旨みぎゅうぎゅう詰めの記事でした。どうもありがとうございます。
山田くん、時代劇も殺陣も今回が初挑戦。
しかも"超"がつくほどのベテラン揃いの原田組。こちらとしてはただぼーっと「山田くんならなんだかんだ言っても余裕っしょ!」とか阿呆みたいな決めつけをするばかりだったのですが、本人はかなりプレッシャーを感じていたよう。
でも、現場ではまさに本物の沖田きゅんのように飄々とした様子だったそうですから、恐ろしい人。岡田師範ともお互い役名で呼び合う関係性だったようですね。岡田師範に「総司!」って呼ばれて返事する山田きゅん、どういう尊さ………?
そして、殺陣初挑戦にも関わらず、なんと"沖田総司"役ですよ。
鈴木さん演じる近藤勇や伊藤さんの芹沢鴨、そして岡田師範の土方歳三と同等、いや、勝たねばならない。実際に戦えば山田くんはさすがに岡田師範に負けるでしょうが、土方よりも沖田の剣が上なわけですから、スクリーンの中では師範よりも強く見せなくちゃならない。あっしなら絶対に無理だね………(でしょうね)
岡田師範曰く、山田くんは真面目で、器用で、センス抜群。
これら、山田担なら必ず頷けるところだと思う。ライブでの魅せ方やセルフブランディングの様子を見ていても、目がチカチカするほど眩く、言葉を失うほど圧倒的な力で常に546186379169115519点満点を叩きつけて颯爽と去っていくじゃないですか。
そればかりでなく、師範をして「千年に一度の逸材」と言わしめています。今から千年前となると平安時代ですから…そこから現在、令和に至るまで、山田涼介ほどの逸材は出ていないということになりまして……いやはや……
一方「1000人に1人の逸材」と表現している雑誌もあるんですよ。どっち??!?(どうでもいい)だって千年と1000人じゃ全然違うじゃんね!??(だからどうでもいいから)
個人的には前者で決定です。
しかも岡田師範、「山田くんにならいつか倒されても良いかな」なんて言うんですよ。なんですかそのエロティックな関係性…ずるい…
そして、沖田総司は肺を病んでいるので、病的な痩せ方をしているはず。
山田くん、完璧に仕上げてきましたね。予告映像を見て震えあがりました。
8kg余りの過酷な減量については、本人も数々のメディアで語っています。鈴木さんと岡田師範のご指導のもと「水抜き」という方法を実践したそうですね。読んで字のごとく、体内の水分を極限まで抜く方法なので、短期間でサクッと終わらせる必要があり、長く続ければ死ぬ。いやいや(笑)ちょ、勘弁してくださいよ(笑)ぷるっぷるお肌とフォーチュン♡リップが干上がって、ガラガラ声になったらどうしてくれるんです!?当時異様に痩せ始めて山田担唖然でしたよね……。
最期のシーンを撮影した翌日に殺陣の撮影があったようで。あまりにも体力が落ちていて力が入らず、結果的に動きが鈍くなってしまい、監督に軽く叱られたとのこと。そんなことになっていたなんて…あたしの見ていない間に…
それから山田くん、恐ろしいほどに「美しさ」を追求しています。どれだけ人を斬ってもはだけない着物、とにかく一糸乱れぬ所作、病に蝕まれた肺から込み上げてくる咳のひとつに至るまで…。
山田くんが沖田総司について「『こほ』と出てくる自分の吐血さえよけるようにしないと」(⑥p.12)と述べていたのを知った時、正直、言いようのない悔しさを覚えました……(泣きながら畳を叩くイマジナリー隊士の絵文字)
沖田が自分の喀血をよける、そんな描写は原作には一切無いんですよ。だから思いも寄らなかったけど、言われてみれば、本物の沖田なら確かにそうするだろうと思った。当時の山田くんは死ぬほど忙しい時期だったし、沖田総司だけに割ける時間もそれほど無かっただろうに、そこまで、まさに想像の先の向こう岸まで、山田くんはたどり着いている。もう、彼は沖田に憑依されているんだと思う。沖田総司はキモオタクの私じゃなくて、山田涼介を選んだんです。山田くんにしか聞こえない沖田くんの声があるというか…内緒話を打ち明けているような感じかな。そこ!沖田総司と山田涼介!こそこそ話するのやめなさい!!!
山田くんっておそらく自分が途方もなく美しい存在であるという自覚があると思うのですが、沖田総司というキャラクターを自分と同格程度に美しい人間と捉えているような気がする。
作品関連のインタビューや雑誌などに触れて思うに、山田くんの演じた沖田総司は、原作の沖田総司よりもはっきりと自己主張するし、大人びていて、我が強い部分があるかも。これはあくまで予想ですが。ほんわかふわふわしていて雲のように掴めない、という要素は薄まっていそう。これは原田監督ならびに山田くんの判断と、小説を映画にする段階で不可欠な変圧によるところだと思います。
脱走した山南さんを追えと命じられた時も、「逃がすかもしれませんよ?」と土方さんを挑発するらしく、私からすると、それはもう沖田総司じゃないじゃんみたいな話になってくるんですが、これは私の利己的な解釈。
製作陣のみならず、沖田総司という役そのものによって選ばれた山田涼介の、いち俳優としての解釈とお芝居が楽しみ。こちとら映画館の椅子からずり落ちる準備万端。
原田監督山田担説
原田監督が今回山田きゅんにオファーをしたきっかけは、『グラス・ホッパー』だったそうな。あの伝説の、蝉さまですね。確かにあれを見ると、たとえ時代劇や殺陣の経験が無くとも、沖田総司をこなせるだろうと思いますよね。
実際、少しの指導でめきめきと力をつけて、見えないところでの自主的な努力も怠らない彼の姿勢を原田監督は惜しげもなく賞賛しています。そうでしょうとも……そこは我らがエースですもの…岡田師範の家にある道場(家にある道場!?)で稽古をしたら本当に「沖田総司の三段突き」ができるようになっちゃったし、おまけにマナーも良く、ものの考え方もディープだと。完全無欠じゃん。何かできないこと無いのかよ!
原田監督はとても厳しいと有名なようですが、山田きゅんのことは随所でバチクソ褒めちぎってるんですよね…なんか多分………多分ですけど……山田涼介にベロベロに惚れている可能性ない……?もしかしてライブ連番したいかな…?4連とかでよければ全然歓迎するけど…
山田くんの沖田総司を主役にしたスピンオフ作品を2度でも3度でも作りたい、とか仰ってるんですよ。
良いじゃん!!!!!やろうよ!!!!協力するからさ!!!!(誰)
沖田総司のスピンオフとか本気で需要しかないでしょ。沖田総司は元来ひときわ人気なキャラクターですからね。誕生から逝去まで全部密着してくれ。貧乏だった幼少期、家督を継げず放り出され、自らの身を立てる策を練った日々、剣や同志との出会い、京に燃える血、淡い恋、故郷への郷愁、同志への愛、病と死への諦観……全部鮮やかに描き出してほしい。山田くんの沖田総司を永遠に見ていたい。まだ予告でしか見てないけど。
原田監督のお話をもっとたくさん伺いたいし、今後もきっと機会は増えてくると思うけど、現時点で、山田担としてあまりにも感激してしまったお言葉がありまして。
「吐く息、吸う息が沖田でしたから」
という表現。きっとそういう意味合いで仰ったわけではないと思うけど、肺を病んでいる沖田総司にとって『息』とは格別な存在だと思うんです。京にのぼった頃にはまだ深く穏やかだった息が病によって次第に浅くなり、やがて咳に変わり、血が混じる。健康な人なら当たり前すぎて気にも留めない「呼吸」という動作は、沖田くんにとっては時に難しいもので、周囲に悟らせないように抑えてはいるものの、激しい戦闘の際には肺が大きく波打ち、乱れてしまう。
要するに彼の『息』は命の砂時計のような役割を果たしているわけだけど、もしかしたら山田くんはそこまで表現しきってしまっていたのかもしれない。こわい。
そしてもう一つ。
俊敏な剣技も、儚げな微笑みも、土方との軽やかな会話もすべてが『スクリーン上の沖田総司であるべき人』のベクトルを指している
『スクリーン上の沖田総司であるべき人』…これなんですよ……
山田くんは本物の剣豪でもないし、もちろん沖田総司その人ではない。映画の中で沖田総司を演じた俳優なのです。
どれだけ剣を使えても、たとえば沖田総司の本物の血縁者であっても、スクリーン上で「薄命の天才美剣士」を演じられるかといえばそうではない。全くの別問題。
山田涼介といえば、スクリーン映えする華やかな美貌と憑依的な順応性、長らくジャニーズとして培ってきた「魅せる」技術、そして生まれ持ったセンスの良さをすべて兼ね備えている。もう文句のつけようがない……まさに、スクリーンの中で沖田総司たりえる人。時代は、山田涼介というスターの誕生に感泣すべきである。
出陣前待機命令
ところで、ちゃんと公開するんでしょうねえ!?!??(泣)
もう10月15日まで全人類家から一歩も出ないで下さい。急なクラスターとか困りますので、本当に。
昨年公開延期になった時は「スキャンダルからのお蔵入りを防ぐため公開までキャスト全員自宅待機でお願いします」とか思ってたもんだが、今のところそちらは大丈夫そうね…助かりましてよ!
拙者、予告編を誦じている成人女児。
うちにある着物用の羽織をファサッ……て脱ぎながら「新選組副長土方歳三…………」っつって遊んでるんだよ、ひとりで。
世間は、こんなに楽しみにしている成人女児を落胆させないでくださいませ…
何事もなく公開されることを神様仏様にお祈りし……というのはね、あまり好かないのですよ。何しろ新選組は「救うも救われぬも、神仏は自分の腰間の剣のみ」というモットーを持っていますから。燃えよ剣を邪魔するものはすべて私が叩っ斬ります。
「男の一生というものは」と、歳三はさらにいう。「美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」(②p.86)
山田担のみんなも、気の遠くなるような宇宙の歴史の中でたった一度きり、山田くんと共に存在できる今世を祝福し、己の美しさを作って参りましょう。
それではみなさまご機嫌よう。
京で会いましょう!(ムビチケをヒラヒラ振りながら)
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文献一覧
※当記事でご紹介した順です。
山田担御用改め 第四夜
みなさまこんばんは、りらです!
恐らく今日が最後に、いや最期になると思います。御用改め、最終回です。
今夜もまた、山田担であるという軸をウザいほど振りかざし、暑苦しく共感を求め続けていきたいと思います。
うちわを涙で濡らすことになると思いますから、防水加工しておいてください………
出典は司馬先生の「新選組血風録」(株式会社角川書店, 2003)でございます。
<菊一文字>
菊一文字というのは、何を隠そう、沖田きゅんの愛刀です。
有名らしいのですが、私は知りませんでした。
沖田さまに愛された刀……なんという贅沢。この上ない幸せ。
沖田さまに想いを寄せる芸妓やら、沖田さまに想いを寄せられる医者の娘やら、色々いますけれども、真に私が嫉妬するのはこの刀に他なりません。
だって沖田さま、あまりにも勿体なくて、刺客に会ってもこの刀を使わないんですよ!?!?!?
天下の沖田総司が、逃げるんですよ!?!????
沖田さん、ひょんなことから、贔屓にしている刀屋さんからこの刀を「貸してもらう」んです。
(でもこの刀屋さん、沖田さんにベロベロに惚れているので結局タダであげちゃうつもりなんですけどね、、、いきなり「これあげるんで使ってください沖田さま好きです!!!!!」とか言われるのを嫌うタチなのをようく知っているからこその、「お貸しします」………粋ですよね)
この菊一文字があんまりにも凛として美しいので、沖田さんは使えないの。
遠慮すんな!?!??!?私が5000本くらい買ったろか!!?
と、思うじゃないですか。でもね、そういう問題じゃないんですよ。
「この姿、これをいったん見た以上、血を吸わせる気がしますか」
なんて言ってうっとりするんです。
あまりにも勿体なくて使えないという旨を沖田さんから聞いた刀屋さんも
「あなた様の天禄にくらべれば、則宗(菊一文字)など、下品の下品にございます。竹刀でも使いすてるようなつもりでお使いなさいまし」
なんて言いながら、とろけるように微笑んだりするんですよ。わかる…わかるよ……沖田さんの好きなところは、まさにそういうところですよね刀屋さん…(固い握手)
沖田くん、この時既に病に体を蝕まれていまして(嗚咽)自分がそう長くはないことを静かに悟っています(慟哭)
菊一文字は、なんと700年という年月を、刃こぼれひとつせずに、とびきり美しい姿のままで生きてきています。
新品の刀ではないですよ、沖田くんが初めての所有者というわけでもありません。
これまで数えきれない士たちと共に戦に行ったはずで、恐らく主人たちの死を見届けながら、この菊一文字だけが、凛と生きているんです。
この700年という数字が、余命わずかな沖田くんには、我々の想像を絶するほど神聖に響くのでしょう。
ウッウッウッ……沖田くん……嫌だよそんなの…沖田くんも山田くんも700年生きてよ…
そしてある日、沖田くんと関わりが深かった隊士が一人、死にます。
沖田くんが菊一文字を使うのを惜しんで逃げた、あの時の刺客に斬られました。
あの時沖田くんが物惜しみをせず斬ってさえいれば、出なかったはずの犠牲です。
胸が……胸が千切れる……痛い痛い…助けてくれ…
土方さん、いつも沖田きゅんに甘々なのに、この時ばかりは静かながら厳しく叱責します。
このシーンは痺れますよ。
いつか、何かの機会に、岡田の兄貴と山田くんで是非演って欲しい。
そしてまあ、沖田くんのことですよ。もちろん行くじゃないですか、仇討ちに。
鮮やかに仲間の仇を討ち、敵の連れにこう放ちます。
「私の用は済んだ。これで引きあげますが、おひきとめになりますか」
(左下段の構え)
!!?!?!?!?!????!!?!?!
(ちなみに引き留めたら終わりです)
こんな………こんな事ってある……こんなにまで完璧なセリフ…司馬ちゃん愛してる、山田くんの次に…
これ、山田涼介に言わせたい選手権ぶっちぎり優勝です、個人的に。
何がかっこいいかわからんですか!??!正気ですか!!?
この前後の文も最高にかっこよ………………くて脳天貫きパーティーですよこんなん。
ここだけ抜き出されても「ハ?」だと思いますけど、前後の文章を読めばわかっていただけると信じています。
読んで!!!!!!!!!
ちなみにこの章を読んだ夜、深夜2時くらいでしたけれども、アドレナリンをどうすることもできなかったので狂ったように踊り散らかしながら家中の人々を起こして歩いて大声で「沖田総司ーーーーーーー!!!!!イエーーーーーー!!!!!!」と叫んで回りました。
ランナーズハイならぬ、沖田ハイですね。
長々とお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。
そして、大変失礼いたしました。
新選組血風録の話は以上ですが、ここで自分、ちょっと、妄想いいすか?(だめです)
私ね、女なんですけれども(?)、なぜか沖田くんのことを見る時、いつも隊士の目線なんですよ。
映画で「沖田に想いを寄せる芸妓」糸里ちゃんに上手く感情を移すことができたら女性目線になるかもしれませんが。
今のところは、私の中にいるイマジナリー隊士が、ひとり、沖田さんへの叶うことのない恋慕をかみ殺して枕を濡らしている状態です。
私が運よく新選組に入ることができても、絶対に一番隊は無理だと思うんですね。
一番隊は新選組きっての精鋭部隊ですから。
なんとか引っかかれたとしても、井上さんの六番隊とか…優しそうなので好きです。
だから実戦で沖田組長につくことは無いんだけど、道場なんかで見かけるわけじゃないですか。
平隊士たちと気さくに言葉を交わす沖田組長が、眩しいのなんの………
もちろん私は話しかけたりできませんよ…遠くから見てりゃ良いんです。
ガチガチに緊張しながら「あの…」って声掛けて、あの顔に「何ですか?」なんて振り向かれたらもう、記憶飛ぶじゃん?
でも沖田組長は衆道がひどくお嫌いだし、こまっしゃくれたことを言う医者の娘なんぞに淡い恋心を抱いたりしているわけですよ。
弱小平隊士の私なんかに、出る幕があるわけないじゃないですか。あるわけ!!!ないんです!!!!(髪をふり乱す絵文字)
叶わぬと思えば思うほど、燃え上がってしまうものですよね…ウンウン…
恋慕に狂うあまりますます使い物にならなくなってくる自分の姿を恥じ、自ら土方さんに「腹を切らせてくれ」とお願いしに行くと思います。
もちろん土方さんは止めないよ。そういう人だもの。
そしてきっと、介錯役には沖田組長を指名してくれるよ。そういう人だよ。
当の沖田組長は、仔細を聞かされてちょっとゾッとしながらも「可哀そうだな…」って言ってくれるような気がします。そういう人なんだよ!!!!!(泣)
嗚呼、幸せ。沖田組長に介錯して頂けたら、もう何も思い残すことはないよ。
みんなありがとう。五稜郭まで行けなくてごめん。
なんか……しんみりしちゃったね…すみません……
(しんみりじゃなくて、引いてんだよ!!!!!!)
映画の公開は延期になってしまいましたけど、それまでの間に「燃えよ剣」を読み返さないといけないし、まだまだ沢山やらなければならないことがあります。
死んだふりをしている場合ではありません。
山田くんが命懸けで演じた沖田総司と本気で向き合うためには、体もバキバキに鍛えなきゃいけないし…(?)
ただの山田担、ただの観客…ではなく、モブ隊士の一人として、誠心誠意映画に参加していきたいと思います。
山田担各位、沖田組長が「私が先頭で行きます」と言ったら「わ、、わたしが先です!!!!!」って前に走り出るくらいの気概を見せましょう。
それから、「この沖田さんがやばい!!!!!」みたいな話は大歓迎ですので、私が知らなそうなことでも、知ってそうなことでも、色々シェアして頂けたら泣いて喜びます。
山田担御用改め 第三夜
今夜もしぶとくやります、りらです!
今日は、うん………リアコ勢としては胸が引き裂かれるかも知れませんが、山田担なら、沖田担なら、絶対に知っておかなければならないお話です。
出典は、司馬先生の「新選組血風録」(株式会社角川書店, 2003)です。
<沖田総司の恋>
は、はぁ………ハァーーーーーーーーーーーン………(地獄の果てまで続くため息)
タイトルからしてとんでもねえな。確実に私の息の根を止めてやろうという強い意志を感じる。合格。
一応朗読のお仕事を頂くことがある人間なので、この章はちゃっかり自分の声で宅録しました。全文掲載するのがダメなら、その音声ファイルここに貼ったろか!?!!?!?!?(どちらにしてもNG!!!落ち着け!!!)というくらいに好きです。
司馬先生って、人の首が飛んだり血が散ったり、血なまぐさい文章も巧みにお書きになるのに、「恋」の話になると粗野な部分が消えて、言いようのないピュアな切なさを醸し出すの、何なんでしょうね。天才とはこういうものなんでしょう。
燃えよ剣で描かれる土方さんとお雪さんのエピソードしかり、この「沖田総司の恋」も、色で例えるなら薄紫や薄桃色………儚さが滴り落ちるような表現をするじゃないですか。
堪らん…ハアァ、堪らんよ、先生。
「少女漫画みたいだ」、という表現をされている方も多いんですが、一概にそうとも言えないと思うんですよね。
私、結構少女漫画も読むんですが、司馬先生の書く「恋」は、ああいう類とも少し違うんじゃないかなあ、と。
とにかくひたすらに物悲しいんですよ、なんでかわからないけど。
少女漫画にあるような「激情!!!」「あなたが好きでたまらないのよ!!!大好き!!!」みたいな、生々しい体温を感じないというか。
粘り気のない、さらりとした流動的な感情なんですよね。沖田くんの恋もそんな印象です。
で、この章だけは、私自身おこがましくも宝物のように思っていまして、山田担の皆様にぜひ直接読んでいただきたいな…と思うので、あえて内容をほとんど書きません。
沖田くん、ご存知の通り結核を患っていまして、お医者様の所にこっそり通っています。
このお医者様の娘であるお悠さんに、沖田さんは淡い想いを抱くわけですね。
「愛」よりも「恋」よりも美しい感情です。あこがれ、に近いのではないかと思います。
そして、清水寺の描写があるのですが、これがもう、息が止まるほどに鮮やかで、美しい。土方さんと沖田さんの、ぽつりぽつりとした男同士のシャイな会話もいじらしい。
ゾクゾクしますよ。
メインプロットはもちろんこの恋の話ですが、それ以外にも、沖田くんの身の上や家族のこと(私の推しである、姉の「お光さん」も出てきます。脳内イメージは長澤まさみです、合掌)、池田屋事件の喀血(映画「燃えよ剣」でも出てくるみたい!!!)などなど、沖田さん情報が雪崩のように提供されるので、確実に泡吹いて倒れます。
それからかの有名な沖田総司の「三段突き」についても詳しい説明があります。
これ、字面がいかがわしくないですか!!?!?(鼻息)不謹慎ですみません。
山田くん、殺陣が初めてなのに、あっという間に体得してしまったという、あれです。
話がすっ飛びますが、沖田きゅん、何も知らないお医者様に「あんたの病気はまずいよ。どうせ大した素質があるわけでもないんだろうし、道場を休んで寝てなさい」と言われます。
「大した素質があるわけでもないだろうし」って、超ウケません!!?!?
私の中のギャルが腹抱えて笑ってるんですが。
全く、誰に向かって言ってんの…?っていう。何も知らないお悠パパ、ドンマイ。
この言いつけに対して沖田くん…
「ええ」
微笑した。守れるはずがない。
「ちゃんと臥ています」
滝のような涙……………………必殺、沖田総司のホワイトライ。略してホワラ。(脳内でハートを作るJUMPの皆さん)
この他、沖田くんのと近藤・土方とのぽかぽかした関係性も沁みるんですよね……
二人が沖田くんを本当に愛していて。
その親心というか、兄心というか、沖田を想う底無しの優しさが、沖田きゅんの美しい恋を思いも寄らぬ方向に捻じ曲げていきます。
近藤・土方兄さんがやっちまうんだよ、、、膨らんで花開きかけている桜の枝を、無自覚で手折るような暴挙。
これはもう、最悪。
近藤さんも土方さんも大好きだけど、この時ばかりはマジで斬り殺してやろうかと思いました。
全部ネタバレするわけにいかないので、沖田くんの名台詞だけそっと置いていきます。
「いや、ちがうんです。私はただ、あの娘をつまり、遠眼でみているだけでよかったんです。……それを」
言おうとしたが、言葉にならなかった。
アアアアアアーーーーーーーーーーーーーー(松明を掲げながら全裸で街を奔走する絵文字)
これ、あまりにも素晴らしいでしょ!??!
みなさん、脳内の山田涼介にこれを言わせてください。
ハ!?!!??!むりもう…うちわ食いそう……てかこんどのうちわ、この台詞にしようかな???(文字詰め込みすぎて何も見えない)
<槍は宝蔵院流>
斎藤一さんが登場しますよー!映画では松下洸平さんが演じます。
イケメンですよね!人気キャラというイメージです。
沖田くんと絡みを密かに期待しているんですが…どうだろう、あるかしら?
それでは例の如く、頑なに、沖田の人柄がわかる部分を脈絡0で紹介します。
「いまに土方さん、びっくりすることがおきますよ」
「なにがだ」
「言わない」
沖田は、隊士の告げ口をしたことのない男だから、土方もこれ以上問いつめるのはむだだということを知っている。
沖田くん、ゴシップ野郎でなんでも知っているのに、言うべきこととそうではないこと、きちんと分別がつくんですね。
隊の生き死にに関わることなら即刻動いて土方さんに報告するのでしょうが、自分の立場を良くするために上にすり寄ったり、隊士を売ったりは絶対にしないんですよね。
情に厚くて、肝が据わっているというか。
こういうところもまさに「ふしぎ」です。
だからきっと、私(の中のイマジナリー隊士)が隊に関係ない個人的な悩み事なんかを沖田くんに相談したら誠心誠意聞いてくれるんだろうな、と思うし、きっと周囲にも黙っておいてくれると思います。
好きです………沖田組長……この果たされない想いを抱いたまま夜な夜な声をかみ殺してさめざめ泣くでしょう、私の中のイマジナリー隊士が(誰ですか?)。
土方さんもね、沖田くんにすっかり気を許してますから、戦友近藤さんに言うのもちょっと気が引けるようなことまで、沖田くんには漏らしてしまいます。
「燃えよ剣」でも、「いやだなあ、訴え仏みたいにされちゃって」っていうシーンありませんでした???
土方はあとで沖田にこぼした。
「なんでも喋るらしい」
「さあ」
沖田は、こんなことには取り合わない。
(中略)
「総司、私がぼやいている、なんてのは、洩らすな」
「喋りゃしませんよ」
土方さん、完全に相手にされてなくてわろた……………
沖田きゅん、土方さんのボソボソした愚痴にはいつもこんな調子です。
でもちゃんと聞いてるんですよ、土方さんのこと大好きだから。
まるで妖精さんじゃないですか……一家に一台沖田総司の時代ですよみなさん…
それではまた明晩。
本が気になった方はぜひ!
山田担御用改め 第二夜
こんばんは、りらです!
さてさてさてさて………今日はマジで心臓に負担来ますよ、救心飲みました???
一見沖田くんセンターじゃないかと思いきや、ダメージバカデカ&致死量の沖田くんが供給されるお話です。
出典は司馬先生の「新選組血風録」(株式会社角川書店, 2003)です。
<前髪の惣三郎>
近藤さんも土方さんもびっくりドキドキな、超絶美男子のお話です。
まあ普段から山田涼介を見ている我々にしたら、ちゃんちゃらおかしいわけですけれども。
へえ……超絶美男子…山田きゅん、この役でも良かったんじゃ…?(燃えよ剣にはおそらく出ないけど)
って一瞬思ったんですが、読んでみたら全然違いました。すいませんでした。やっぱり沖田総司で間違いないです。ハイ。すみません本当に。
何がどう「違う」のかは上手く説明できないんですが、いや説明しようと思えばできそうな気もするんですが、とんでもなく長くなってしまうので、ご自身で読んでいただいて感じて欲しいです。
まあ簡単に言うと、この章の題材は隊士同士の、つまり男同士の色恋です。
好きな人はめちゃくちゃ好きなやつです。
残念ながらそちらの趣味が無いもので、本格的に興奮したりはしないのですが、まあそれなりに興奮しました。(???????)
それでは例のごとく、沖田くんを切り抜いていきます。
(土方)「なにをしている。童に遊んでもらっているのか」
(沖田)「いやだなあ。こんな子供達に遊んでもらってもちっともおもしろくない」
嘘、ですよ…………沖田くんは、子供たちと遊ぶのが大好きなんです。子供に好かれる人です。清らかな沖田くんは、大人と小難しい話をするよりも、そっちの方が好きなんだろうなあ。
「あの一件は、私にはにが手ですよ。男が男を追っかけるなんて、私にはわからないな」
惣三郎に惚れて追いかけまわしてる田代という男と、惣三郎本人はいわゆる同期でして。その入隊テストで審判をしたのが沖田くんなんです。
この審判の件で尋ねたいことがあって、土方さんが二人の名前を出した瞬間、この反応。
沖田くん、衆道(男同士の恋愛)の話になると途端に元気なくなるんですよね。おそらくマジでどうしたら良いのか分かんないんだと思う。
「私は、あのふたり、どちらも嫌いだな、顔を見るのも。そうだな、声をきいてさえ、こう、ぞっとする。土方さんは、どうです」
そ、相当嫌いじゃねーか…………ここまで嫌うこと、ある…?
生理的に無理なんじゃん……ちょっと笑っちゃうんですが笑
そして惣三郎が美しすぎるあまり、男たちがドロドロし始めます。
どう考えても良くない。隊の風紀が乱れますよね?
遂に土方さんが動くのですが、あろうことか、惣三郎に田代を斬るように命じます。
この時点で既に二人は関係を持ってますから、恋人を斬れと言っているようなものです。
ただ、惣三郎もそれなりにおかしいので、「やってみます…」とか言います。
当日、惣三郎が見事田代を斬ったのを見届けた土方さんと沖田くんは、静かに現場を去ります。
しばらくしてふと立ち止まる沖田くん。
「そうだ」と、この男はつぶやくようにいった。「用を思いだした。ちょっと中洲(惣三郎が残っている場所)までひきかえしてきます」
この男の用がどういうものか土方にはわかっている。
どういう意味か、わかります……???震涙
<三条磧乱刃>
井上源三郎さんが登場します。今回の「燃えよ剣」ではたかお鷹さんが演じますね。
近藤さんたちと同郷ながら剣は苦手で、半分隠居中の謙虚な癒し系おじさんです。
それから、国枝大二郎という新入り隊士も主人公です。
(沖田は)気さくな男だから、たれかれなしに話しかけた。
「沖田先生」
みながそういうと、
「先生はよしてくださいよ」
そんな調子である。
この時沖田くん、まだ22歳くらいです。先生……一生愛す…
この、沖田先生に、国枝くんは先ほど出会ったじいさん(井上さん)の正体を尋ねます。
(沖田)「はて、いくつぐらいの人でしょう」
(国枝)「さあ、六十くらいでしょうか」
これを聞いた沖田くん、全然見当がつかず困惑してるんですが、国枝がじいさんの言っていたことを復唱すると、突然弾けるように笑いだします。
「わかった。井上の源三郎さんだ。しかしひどいなあ、あんたはそれだけでも隊則違反で切腹ものですよ。井上さんは六十じゃありませんよ。なるほど隊じゃ飛びぬけて年配だけど、それでも四十三、四です。しかし、六十とはよかったなあ」
沖田先生が、笑っている!??!?!きゅん♡♡♡
国枝くん大丈夫!??惚れたね!!?沖田先生は衆道がお嫌いだから気持ちは秘めておくんだよ!??
本当に、気さくな人だよね…こんな感じで隊士をリラックスさせて色々情報を拾って、まずいものは即刻土方さんたちに報告、だものねえ。油断のならない人ですよ。
でもどうしようもなく好きですよ。沖田さんになら何でも言っちゃいそう。
「あの……黙ってたんですけど…なんかもう抱えきれなくて……」
「どうしたの、言ってごらんよ(天使の笑顔)」
「自分、実は長州の間者でして……あの、でももうやめます、こんなこと。先生のこと裏切るの、耐えられないんで(照)」
「そうかあ(天使の笑顔)」
翌日門の前に私の死骸が転がってるんですよね(遠い目)
鎖を着込んだ姿をみて土方がおどろいた。
(土方)「なんだ、夜中、その恰好は」
(沖田)「別にすき好んでやっているわけじゃありませんよ。あなたが悪いんです」
(土方)「おれが?」
(沖田)「井上さんの一件。ああいう物の言いかたをすれば、当人は死勇をふるいますよ」
ある一件があって、井上さんと国枝くんは大冒険に出かけます。なかなかに死亡フラグが立ちまくっていて危なっかしいので、読み応えあります。
沖田きゅんはこれを救出しに行くわけですよね。彼らには無理だとわかっているので。
ここで土方さんに「あなたが悪いんです」って言えるのすごくないですか、めっちゃ笑いました。
恐怖政治の筆頭である歳ちゃんにここまでガツンと言えるのって、沖田くらいじゃないですか?
<海仙寺堂異門>
これはあんまり出てこないんですけれでも…ちょっと可愛いので。
長坂小十郎という会計方が、ある女からの手紙を沖田に見せたシーン。
まだ二十を幾つも越していない沖田には、女というものへの憧憬がうせていないようであった。
手紙の内容を、微塵も疑わずまるっと信じます。ここが可愛すぎるところです。
それだけでは終わりません。
その後土方さんにこの一件を何気なく話したところ、
「総司、正気かね」
と言われます。訳すと、「お前、バカじゃねえの!?!!?!?!」です。
その上、
「一番隊は、組頭も組下も、人の好い馬鹿がそろっている」
とまで言われます。散々言われ放題です。
沖田きゅん、なんと、ふくれて見せたりします。
坊ちゃんいけませんよ、そういうことをしては!!!!!土方さん、どうにかなってしまいますからね!?!?
それではまた明晩。
「新選組血風録」、気になった方がいらしたらぜひ!
山田担御用改め 第一夜
どうもこんばんは、りらです!
それでは今日から、司馬先生の『新選組血風録』(株式会社角川書店, 2003)の中から、みんな大好き沖田総司関連のアツいエピソードをかいつまんでご紹介します。
話の流れがわかるか……わからないと思います!!!
というか、全部わかってしまったら困るんですよね!!!!
「燃えよ剣」の公開も延期になって(地雷)、沖田きゅんをより深く学ぶ時間を頂けたわけですから…!この記事を是非アペタイザーにして、皆さんにも原作を読んで欲しいなあ、と思います。
<芹沢鴨の暗殺>
芹沢鴨、聞いたことある方多いですよね?今回の映画では、伊藤英明さんが演じますね。
水戸藩浪士で、新選組の初代局長。めっちゃ怖くて乱暴で女癖が悪くて下品な人というイメージ。伊藤さんのせいでなんだかセクシーな感じにもなってしまってますけども。
「沖田は天然理心流の免許皆伝者で腕は今藤、土方よりも立ったが、年がわかく、しかもふしぎな若者で、どういうときでも明るい童子のような相貌をしている。」
ウンウン…そういう子だよね、沖田きゅん♡
導入として、こういう風に紹介されてます。このイメージは「燃えよ剣」でも散々刷り込まれましたよね。
司馬先生、沖田を描写する時に、この「ふしぎ」という言葉をたくさん使います。
近藤さんと土方さんがどんなにピリピリしていても、まさに修羅場のさなかでも、なんだかふわふわニコニコしていて、何を考えているかわからない。
そういう掴みどころの無さを、山田くんが果たしてどう表現してくれるのか、非常に楽しみですね。
山田くんって、もちろん何をやらせても最高の役者さんですが、特に「アンバランス」な「矛盾」の表現が巧みだと思っています。
例えばグラスホッパーでの蝉(さま)。容赦なく人を惨殺する残酷なサイコなのに、どこか儚くて、寂しそうで、人間臭い表情をちらりと見せたりもする。奇妙な丸みがありませんでしたか?ちなみに私の将来の夢は、シジミです。
ネガティブな「私は貝になりたい」ではなく、ポジティブな「私は貝になりたい♡」です。
それに対してナミヤの敦也くん。清らかな志を持っていて、惨いことをするわけでもないのに、触れたら感電してしまいそうなほどピリピリしていませんでした?「青い危うさ」っていうのかな。
つまり、キャラクターに奥行きを出すのが非常に上手なんでしょうね。天性なのかな?
沖田くんも、軸がはっきりした「ヒーロー気質!!!!!」という感じではなく、ニコニコしながら何をしでかすかわからない、とことんハラハラさせてくれるキャラクターなので、山田涼介という役者とは絶対に!!!!!確実に!!!!爆発的なケミストリーを起こすはずです。
「『何者でしょうね』と、にこにこ笑いながら、『私はきっと水戸者だとおもうな』」
芹沢さんをまだ知らなかった土方さんが、「あれ誰だろね?」と沖田に尋ねた時のセリフです。
ウン、そうだね沖田きゅん♡沖田きゅんがそういうなら絶対にそうだよ♡
ふざけてる場合じゃなく、沖田くんの予想はほぼ、いや百発百中当たります。
ここでは「なまり」が手掛かりになったようですが、他の場面でも驚異的な洞察力や「勘」を持っていることがわかります。
「私は、大和屋(富商)がいけないと思うな。芹沢先生が怒るのもむりはないと思いますよ。(略)私の好みでは、そういう(大和屋の)心の使い方がきらいだな」
イってしまっている男芹沢が、突然大砲を引きずって富商を脅しに行った時のセリフです。
ぎゃんかわ…………アア……と悶えているのは私だけじゃなくて、なんと土方さん、
「坊や……」と呼びかけます。
きっとデロデロの顔してます。
どうやら、沖田くんは芹沢さんのことが嫌いじゃないようなんです。陰険に狙うのではなくて、白昼堂々ドガァァァァァンとやらかすその大胆さに、新鮮味を感じていたのかも。
「『私はね』と楽しそうに唇をしめらせた。歳三は苦笑して、『火事が好きだ、というのだろう』『そうなんです。あれは見たかった。大砲火事なんてものは、火事が名物の江戸にもないですからね』
ハ………???
沖田くんは奥州白河藩の江戸定府の息子で、近藤の道場では「万人に一人という天才的な使い手」だったよう(「千年に一度の逸材」が「万人に一人の天才剣士」を演じる世界線がどうやらあるようなんです………ウワァ……)なんですが、市中放浪期も長かったので、町っ子らしい明るさや人懐こさがあるんですよ。
それにしても何を言ってるんですかね????火事が好きってwwwww
人が死ぬんだよ沖田くん!?!?!?
沖田くん、かなり頻繁に土方さんのところに無駄話をしに行ったりするんですが、ある時、女の話を出します。お梅ちゃん。
沖田くん、普段女の話なんてしないのに!!!!誰!??!誰なのその女!?!と思いましたら、近頃芹沢のもとを頻繁に訪れている女なのだそう。
「あの女がくると、隊の者はみんなさわぎます。私はあんな感じの婦人はきらいだけど」
キャーーーーー!!!!!リアコ勢大勝利!!!!沖田くんのォ好きなタイプはァどんな女の子ですかァ〜〜?!?!?わたあめみたいな女の子ですかァ〜!?!
沖田くんは、隊の隅々まで嗅ぎ回る、かなりのゴシップ野郎です。この嗅覚は特筆すべきところがありますし、実際彼の持ってくる情報があるからこそ隊内政治がうまくいっていると言っても過言ではない。
「芹沢さん、可哀そうだな」
タイトルにもあるように、芹沢さんを暗殺することになるんですけど、沖田くんが指名されます。
で、可哀想だ……と言いながら、めちゃくちゃ熱心に準備します。
しばしばお部屋に遊びに行って、暗い中でも歩けるように、ちゃっかりしっかり敷居の高さや廊下の長さなどを検分してくるんです。
「もう大丈夫です。眼をつぶってでも歩けます」とか言うんですよ。多分可愛くにこにこしてます。楽しみにしてるんです。何ウキウキしてんの!?
でもやっぱり、「芹沢先生は可哀そうだな」と言ったかと思えば
「土方先生、あなたはずるいから、一ノ太刀はご自分がつけるつもりなのでしょう。そうはいきませんよ。私はこれほど検分しているのだから、私に譲っていただきます」
そして、「その晩もしお梅ちゃんも一緒にいたらどうしましょうか?」と沖田くんが尋ねましたら
土方さんは
「斬る」と即答。
これに沖田くん、「可哀そうだな」と目に涙を浮かべてマジで痛ましそうな顔をします。
さて、ここでクイズです!!!!!
一番ヤバいのは、誰でしょうか!?!?!?!?
私は迷いなく、イカれサイコ大賞2020を、沖田総司くんに授与したいと思います!
おめでとうございます!!!!!拍手!!!!!!!
だってさ、返り血も洗わないまま目をギラギラ光らせて「俺っちに斬らせてくだせえよ…」とかいうなんちゃってサイコキャラって結構いるじゃないですか、新選組にも何人かいるんです。
でも沖田くんは、「僕は芹沢さん好きだな♡」「芹沢さん、可哀想だ…」とか言っておきながら「斬るのは僕ですよ土方さん!!!!!!抜け駆け無しですからね♡♡♡」って意味不明すぎるでしょ、好き…………
<長州の間者>
タイトル通り、主人公は長州の間者です。間者ってのは、スパイ。
深町新作という男の話がメインです。ちょいちょい彼のラブロマンスが挟まります。
この新作に、おそのという恋人がいるんですが、このおそのの姉の小膳の斡旋で、彼は長州様に奉公する、つまり長州側のスパイとして新選組に潜り込むことになります。
話によるとどうやら既に新選組に潜り込んでいる長州の間者がもう一人いるらしいのですが、誰なのかは教えてもらえません。
万が一どちらかがバレた時に、共倒れしないように、との措置です。
ちょっと新作くんのもろもろゴタゴタは是非、本で確認してください♡(新作担ではないもので…)
「妙な人間もいたものだ。普通なら、力がなくとも強くみせたがるのが人情だし、竹刀を力いっぱいに打ちあうものだが、あんな人をはじめてみた。わざと弱くみせるというのは、どういう気持でしょう」
この新作くんの入隊テストで相手をした沖田くん、こんな発言をします。
土方さんに「誰のこと言ってんの?」
と聞かれた沖田きゅん、「名前は、わすれた」
か、、、、か、、!!!!!!!かわいい!!!!(涙)
で、この後土方さん、「いやでも普通にダメだったよ、撃ちが浅かったし」
と言うんですが、沖田くんは「わざとしてるんじゃないかな」と言います。体つきや太刀行きを見ても、撃ちが浅かろうはずがないと。
そんなことを思いもしなかった土方さんは、ここではじめて新作を疑い始めるんですよ。
沖田くん、仕事できすぎん、、、!!??!?
そしてある時、近頃ある寺で浪士が密会しているという情報が入り、十番隊(新作が所属)が出動します。ちなみに沖田くんは一番隊です。
すると沖田くん、関係ないのに、草を噛みながらふらりと加わります。
「ただ見物するだけ」だと言ってますけど、どうでしょうねえ。
いざ討ち入ってみますと、どうやら情報がバレてます。
新選組が来ることを知らせた者がいるみたい。
新作は、おそらく例の、もう一人の「間者」だろうと考えます。
そうして動揺している間に、新作は浪士を二人取り逃がします。
その時!!!!!!その時ですよ!!!!!!!!!
「深町君。なにをしている」
背後で、落ちついた声が聞こえた。ふりむくと、沖田が薄暗い土間で草を噛んでいる。
「早く追わなきゃ、搦手の連中が苦戦をするよ。いまの二人は、とくに手利きのようだ」
ぎゃーーーーーーーー!!!!!!!!!(うちわ振りかざす)
ここ、はちゃめちゃにかっこよくないですか!?!??!一緒に泣きませんか!!??
もう本当に、無理すぎる、嗚呼、無理。(語彙……)
絶対「ようこそ、パレードへ…」のトーンじゃん……苦しい…
いつもヘラヘラにこにこしてる沖田さまに、突然背後からこんなこと言われたら、討ち入りのことなど忘れて飛び掛かってKISSしてしまいませんか!?!?(あんただけだよ)
そしてこの事件ののち、新作くんは沖田さまの一番隊に入れられます。
ある朝土方さんに呼ばれるんですが、そこに何故か沖田もいます。
「これから路上で隊士のうちの一人を待ち伏せして、斬ってほしい。沖田くんが検分役としてつきます」
と直々に指令が。
任務遂行のため、新作が沖田と一緒に市中へ行くと、祇園会の宵山の準備が進んでいるんです。
沖田くんはこういう楽しいことが大好きなので、目をキラキラ輝かせて覗いてみたりしてる。かわいいねえ……もう全部買い占めてあげたいね、沖田くんのために…手を繋いで…縁日にでも行って…かざぐるまと綿あめ買ってあげたいです…
ここで新作くん、沖田さまに尋ねます。
「沖田さん、一体、誰なんです、この往来を通りかかる者というのは」
沖田さん、扇で風を入れながら
「長州の間者だよ」
サーーーーーーーーーーーーーッッッ(血の気の引く音)
やばいやばいやばい、確実にまずいよ。
で、ここで通りかかったのがなんと……新作くんと非常に縁の深い人物だったのですが……この人が例のもう一人の間者だったのね、やっぱりね…という感じで。
まあ沖田くんと直接関係しないのでここではバラしません。
直接ご確認ください♡
新作くんは見事、自分も間者の身でありながら、そのもう一人の間者を仕留めることに成功したわけですが、恐らくその最期を見届けることはできなかった。
何故かというと、その間者を斬った途端、新作くんも夏雲を見たんです。
新作の死骸の横で沖田総司が、鉾を無邪気にながめながら丹念に刀をぬぐった。
ア"……………………
沖田さま御みずから……!?!?!!?
新作くん、たかがスパイのくせにズルくないですか!?(ハイ!!?!?)
<虎徹>
虎徹というのは、近藤さんの愛刀です。
近藤さんのお茶目なファンキー無茶振りボーイっぷりが遺憾なく発揮される逸話なので、ぜひぜひ読んでみてください。
実はここにも、素敵な沖田くんが潜んでいます。うちわの準備、OKですか?
近藤さんがまだ気軽に外を出歩いていた時期。部下を連れて自ら市中巡察に出かけます。
灯が点かなくなってしまったので、気さくな沖田くんが「火、もらってくるね♡」って何気なくすし屋さんに入ります。
ここで、何やら怪しげな会合に出くわしてしまうんですよ。
「何藩だ」と、別の一人がいった。
「おどろいたな」沖田は、笑った。
「京では、すし屋に入っても、何藩の何某であると名乗るのですか」
「不審があるからだ」
「いやだなあ」
この「いやだなあ」って、沖田くんの口癖ですよね。
困った顔で、照れながら言うんですよ。「燃えよ剣」でも、何度か言ってませんでしたっけ?
山田くん、言うかなあ?言って欲しい……山田くんのフィルターを通した「いやだなあ」が聞きたいです。
沖田くんが名乗った瞬間、全員戦闘モードに入るのですが、当の沖田くんはこう言います。
「待った」と沖田はいった。
「店が迷惑する。やるなら表へ出なさい。名乗った以上は、存分にお相手します」
ギャアーーーーーーーーーーーーー!!!!!!(ババアの断末魔)
こういうところ、ほんとうにずるいですよね、このひと…
ひと試合始まりそうになったとき、すし屋の主人も内心「オイオイ、勘弁してくれ…」って思ったはずなんですが、沖田くんはそのへんようくわかっていますから。
私がすし屋の主人だったらこのセリフで鼻血
出してシャリを血まみれにします。
そして名乗らせたらこっちのもん。存分にお相手してくれるそうです。死ぬまで、です。優しい……お優し王国の王様じゃん…
それでは続きはまた明晩。
「新選組血風録」、気になった方がいらしたらぜひ。
山田担御用改め 前夜
どうもこんにちは、りらです!
みなさんご自宅にいらっしゃるのでしょうか。
お仕事など、どうしても外出しなくちゃいけない用事がある方もいらっしゃるかも。どちらにせよ、ご自愛くださいね。
絶対死ぬなよ!!!生き残ってジャニーズに会おうな。現場で戦おうや。
ちなみに要らん情報ですが、今バチバチに熱出してます。
なんで?知らんよ、泣きたい。
『燃えよ剣』関連の雑誌買い集めて読み漁ってたら突然ぶっ倒れてこのザマ。
あれもこれも、岡田の兄貴が山田涼介になら「倒されてもいい」とか言ったり、「千年に一度の逸材」と呼んだり、「山田君、頭がよすぎるんですよ」とか言ったりするからでしょうが!!!!!
今日はね、まあ、はちゃめちゃ具合悪いわけですけれども、遂に沖田総司の話をします。
『燃えよ剣』公開延期になりましたね?!?!?
コロナ、お前には腹を切らせてやらない、、、そんな尊厳なんてお前には許さない。
せいぜい今しがた女抱いてきましたみたいなベロベロ酔っ払い芹沢鴨あたりに手慰みに道端で斬られろ。
……んで、沖田総司の話をするとは言ったんですが、ここで警告です。非常に大事な話ですので、よく聞いてください。大丈夫??聞けよ???
私はお恥ずかしながら、新選組については無学です。何も知りません。かつて遠い忘却の彼方で日本史専攻だった時期もありましたが、私の専門は鎌倉・室町、あとはせいぜい江戸初中期です。何度も言いますが、新選組のことは知りません。浅学は恥です。よーーーーーくわかっています。
立場を明確にしますと、以下のような者です。
①新選組のことは何も知らない
②沖田総司?名前しか知らない。多分若い?
③司馬先生の作品は今回初めて読んだ
④山田涼介が好き山田涼介が好き山田涼介が好き山田涼介が好き山田涼介が好き山田涼介がす
つまり、私がこれからお話する「沖田総司」は、司馬先生の『燃えよ剣』その他の著書におけるフィクションのキャラクターであり、そのイメージは100パーセント、Hey!Say!JUMP山田涼介の顔で再生されています。
あえて『史実』はガン無視します。アグレッシブですが、沖田総司という人物が実在したか否かさえ、私にはどうでも良いことです。
それから、恐ろしいほどの強火沖田総司オンリーです。他の隊士にはほぼ言及しません。他メンに絶対湧かない、自担ロックオン型です。
ヤバそうだな、と思った方、既にイライラしている方は逃げてください。大丈夫そうだな……と思った方だけこのまま読んでくださいね!らぶ!(ここで読者0に)
沖田総司ってのは、まあ皆さんご存知の通り、まさに新選組を代表する『天才剣士』なわけですよ。近藤や土方も、剣では彼には敵わないらしいんです。
司馬先生は沖田を「ちょっと色小姓にしたいような美貌」の美青年にしてますし、近藤と土方を慕ってどこまでもついていく誠心、いつもどこか飄々としていながら時には無邪気に子供と戯れたりする気さくで穏やかな面なぞもまさに天使!!!!!!天使!!!!!!!!!すいません取り乱しました…
しかしそんな華やかな活躍も長くは続かず、若くして結核に倒れます。この悲劇的なドラマ性も相まって、山田くんも言っているように、人気が非常に高いキャラクターですね。
燃えよ剣の原作読んでる方、結構見かけるんですけど、山田担のみなさんはほとんど履修済みなのかな……私は1年以上前に読んだので、正直言うと8割型思い出せなくてですね…ババアになるとこうなのよ、何笑ってんの!??!ムカつく!!!(コロナ鬱)
で、燃えよ剣をちょうどリアルタイムで読んでた頃の私のキモツイートを掘り起こす作業をしてみたんですよ。
さすがにもう埋もれてるかな、と思いつつ記憶を頼りに検索したら、いや〜〜〜使ってる語彙が独特にキモすぎて全然普通にワンサカ出てきました(ニッコリ)
山南敬助「君(沖田総司)は、ふしぎな若者だなあ。私は君と話していると、神様とか諸天とかがこの世にさしむけた童子のような気がしてならない」
— りら (@kirarirax) February 14, 2019
突如割って入る私『そ……!!!!!それな??!??!?!』 pic.twitter.com/ReR9eU8Tbo
突然知らん女が胸ぐら掴みかかってくるわけですから、山南敬助もさぞかし驚いたことでしょう…
《引用》
— りら (@kirarirax) February 12, 2019
「沖田君、どうだ」と近藤(鈴木亮平さん)はいった。
『私ですか。私は近藤先生と土方さん(岡田くん)の往くところなら地獄でも行きますよ。もっとも、極楽のほうが結構ですがね』
沖田総司はこういう男だ……ムリ好きすぎる……甘くてホットな台詞を平気で言っちゃうのよ… pic.twitter.com/BpCwaXOfiK
いや、これね、いやはや、あの、いや、、あ???
そういうこと、言っちゃダメ…沖田きゅんは私が絶対に守る。地獄になど行かせない。(キマった目)
『燃えよ剣』において、私が最も美しいと思ったやりとり。静謐としていながら耽美で、艶めかしくも淡とした、嵐の前の静けさのようだとは思いませんか。この時既に沖田は病魔に冒され、歩くのもままならない。それでも尚、土方をここまで慕う。
— りら (@kirarirax) February 14, 2019
これこれこれこれーーーー!!!岡田ニキもこのセリフを軸に据えていると仰っていて、部外者私がニンマリでした♡
お互いに信頼しきってゆるふわな空気を醸し出す土方と沖田の絡みが最高。超へたっぴな俳句を「どうだ?」って恥ずかしそうに沖田に見せる土方さんと、心の中で(こりゃひどい)ってクスクス笑いながらも『これなんか良いですね』って褒めてあげる沖田を、、岡田准一と山田涼介で再生してみ?????? pic.twitter.com/bgqU0AEcHL
— りら (@kirarirax) February 13, 2019
なんかこういうシーン無かった…?気のせい???私の妄想だったらすいません。
内容ほとんど忘れてるような人間に言われたくないと思うんですが、『燃えよ剣』は映画観賞前に必ず原作を読み込んでいった方が良さそうですね。
関係者の方々から試写会のレビューあがってきてますけど、とにかく展開が速いみたい。山田くんも言っていたように、そもそも原作の情報量が膨大ですし。
私ももう一回読みます…許してください…
ただ、個人的に『燃えよ剣』は、作品的にハマらなかったんですよね…
山田くんが沖田総司!!!山田くんが沖田総司!!!!!山田くんが沖田総司!!!!(ギンギン)なテンションで読み進めたところ、なんだか土方さんばっかり出てくるし、沖田くんメインの章とか無いんですよ…(え????当然じゃないの!??!?さては、バカだな!?!?!)
それに加えて、沖田総司=山田涼介の等式がなかなか飲み込めなかったというのがあります。
「んん〜〜?これ、山田くんなの…?」
「解釈違い…司馬ちゃんとは相容れない…(※そもそも山田くんに演じられることを前提として書いていません)」
「沖田総司……別に……」
とまあ、こんな調子で。
そもそもなんですけど、私は10年以上前から山田涼介は源義経だと訴え続けているんですよ。
わかります?絶対みんな思ってるでしょ???(twitterで「山田涼介 源義経」で検索かけると私のツイートしかヒットしません)
それは良いとして、イマイチ等式が固まらないまま『燃えよ剣』本番(?)を迎えることになるんだろうな………と思っていたんです。
『新選組血風録』に出逢うまでは……………
どこで見たか思い出せないんですが、
「こちらは『燃えよ剣』よりも隊士たち個人のエピソードや人間性にフォーカスした短篇集だよ…もしかしたらこちらの方が読みやすいかもよ…」
とおっしゃってる方がいて、「ほぉ〜〜ん…沖田くん、出てくるんか…?セリフ、あるんか…?まあいいや、予備知識にでもするか…」と思って買ったんです。
もうこれがね、爆弾
ハイ、思い出せないんですがどこかのどなたか、教えてくれてありがとーーーーーーう!!!!!!ちゅきちゅき!!!!イェイイェイ!!!(山田涼介ラジオVer.)
これ読んだらね、ハイ、もうダメ(笑)
終わりです。お前はもう死んでいる。
一生涯、沖田総司側の人間決定。司馬先生とハイタッチ。
もしかしたら、『燃えよ剣』は読んでいてもこちらは読んでいない方がいらっしゃるかも~?と思ったので、特に!!!猛烈に!!!!!印象に残った箇所を2,3か所ブログで紹介しようと思って(仕事中に)付箋を貼ってみたんです。
2,3か所選ぼうと。
ハイ、こうなりました。
で、一瞬ギョッッッッ……………としたのち、私の心に切り傷を残していった強烈で愛おしいシーンたちを、取捨選択しようという考えがそもそも間違っていたんだと悟りました。
今から恐ろしいことを言います。大丈夫ですか?すごい怖いですよ???
ひとつ残らず取り上げます。つまり、ひとつ残らず取り上げるということです。
こうなったら殲滅作戦しかないと思うんですよ。
土方をも凌ぐ恐怖政治で、「新選組血風録」を全身全霊切り刻んでいきたいと思います。
ちなみに、嬉しいことにほとんどのエピソードに沖田くんが登場する(ちなみに沖田くんがセンターを張る章がなんと2つもあります!!!!♡)のですが、稀に一切出てこないものもありまして、そちらは割愛いたします。
二君に仕えない私なりの、沖田組長への誠意です。
つきましては、明日から毎晩少しずつ、あくまでも沖田総司にフォーカスしたかたちで取り上げていきたいと思います。
沖田総司=山田涼介の等式を決して崩さないでください。沖田、と出てきたら山田涼介の顔を思い浮かべます。簡単ですね?
映画公開までイメトレを重ね、士気を高めて参りましょう………ゼエゼエ
なぜこの期に及んで「燃えよ剣」ではなく「新選組血風録」なのか、というのは本当によくわかりません。変ですよね。
「新選組血風録」に出てくるシーンが今回の映画に登場する可能性は低いでしょうし。
ただ、個人的に、「燃えよ剣」でハ????となった部分が「新選組血風録」で解決されたり、何より、「燃えよ剣」で平面だった沖田総司像がみるみるうちに鮮やかな陰影を帯びて、まるで本から飛び出すかのごとく立体的に浮かび上がってきたので。
「新選組血風録」の方もさらりと触れる(だけでは絶対に済みません、確実に足をとられます)ことで、山田くんの沖田総司をより多面的に捉えるための一助になるんじゃないか、、、と期待しています。
そもそも全文は載せませんし(当然)、沖田きゅんのシーンだけを支離滅裂に切り取るので、話の流れはわからないはずです。
無論、私のくだらないブログなんぞでは司馬先生の潔く美しい文章の魅力を微塵も捉えられないでしょうから、一人でも「こいつの話じゃわからん、本買ったる!!!!!」という英断をされる方がいらっしゃったら嬉しいです…
ようし、それでは明晩出動。
山田担による狂気の御用改め、始めるよ?