推しが刃を握るなら

守備範囲が広すぎて息切れしているオタクです。

山田担御用改め 第一夜

どうもこんばんは、りらです!

それでは今日から、司馬先生の『新選組血風録』(株式会社角川書店, 2003)の中から、みんな大好き沖田総司関連のアツいエピソードをかいつまんでご紹介します。

話の流れがわかるか……わからないと思います!!!

というか、全部わかってしまったら困るんですよね!!!!

燃えよ剣」の公開も延期になって(地雷)、沖田きゅんをより深く学ぶ時間を頂けたわけですから…!この記事を是非アペタイザーにして、皆さんにも原作を読んで欲しいなあ、と思います。

 

 

芹沢鴨の暗殺>

 芹沢鴨、聞いたことある方多いですよね?今回の映画では、伊藤英明さんが演じますね。

水戸藩浪士で、新選組の初代局長。めっちゃ怖くて乱暴で女癖が悪くて下品な人というイメージ。伊藤さんのせいでなんだかセクシーな感じにもなってしまってますけども。

 

「沖田は天然理心流の免許皆伝者で腕は今藤、土方よりも立ったが、年がわかく、しかもふしぎな若者で、どういうときでも明るい童子のような相貌をしている。」

 

ウンウン…そういう子だよね、沖田きゅん♡

導入として、こういう風に紹介されてます。このイメージは「燃えよ剣」でも散々刷り込まれましたよね。

司馬先生、沖田を描写する時に、この「ふしぎ」という言葉をたくさん使います。

近藤さんと土方さんがどんなにピリピリしていても、まさに修羅場のさなかでも、なんだかふわふわニコニコしていて、何を考えているかわからない。

そういう掴みどころの無さを、山田くんが果たしてどう表現してくれるのか、非常に楽しみですね。

山田くんって、もちろん何をやらせても最高の役者さんですが、特に「アンバランス」な「矛盾」の表現が巧みだと思っています。

例えばグラスホッパーでの蝉(さま)。容赦なく人を惨殺する残酷なサイコなのに、どこか儚くて、寂しそうで、人間臭い表情をちらりと見せたりもする。奇妙な丸みがありませんでしたか?ちなみに私の将来の夢は、シジミです。

ネガティブな「私は貝になりたい」ではなく、ポジティブな「私は貝になりたい♡」です。

 

それに対してナミヤの敦也くん。清らかな志を持っていて、惨いことをするわけでもないのに、触れたら感電してしまいそうなほどピリピリしていませんでした?「青い危うさ」っていうのかな。

 

つまり、キャラクターに奥行きを出すのが非常に上手なんでしょうね。天性なのかな?

沖田くんも、軸がはっきりした「ヒーロー気質!!!!!」という感じではなく、ニコニコしながら何をしでかすかわからない、とことんハラハラさせてくれるキャラクターなので、山田涼介という役者とは絶対に!!!!!確実に!!!!爆発的なケミストリーを起こすはずです。

 

「『何者でしょうね』と、にこにこ笑いながら、『私はきっと水戸者だとおもうな』」

 

芹沢さんをまだ知らなかった土方さんが、「あれ誰だろね?」と沖田に尋ねた時のセリフです。

ウン、そうだね沖田きゅん♡沖田きゅんがそういうなら絶対にそうだよ♡

 ふざけてる場合じゃなく、沖田くんの予想はほぼ、いや百発百中当たります。

ここでは「なまり」が手掛かりになったようですが、他の場面でも驚異的な洞察力や「勘」を持っていることがわかります。

 

 

 「私は、大和屋(富商)がいけないと思うな。芹沢先生が怒るのもむりはないと思いますよ。(略)私の好みでは、そういう(大和屋の)心の使い方がきらいだな」

 

イってしまっている男芹沢が、突然大砲を引きずって富商を脅しに行った時のセリフです。

ぎゃんかわ…………アア……と悶えているのは私だけじゃなくて、なんと土方さん、

「坊や……」と呼びかけます。

きっとデロデロの顔してます。 

どうやら、沖田くんは芹沢さんのことが嫌いじゃないようなんです。陰険に狙うのではなくて、白昼堂々ドガァァァァァンとやらかすその大胆さに、新鮮味を感じていたのかも。

 

「『私はね』と楽しそうに唇をしめらせた。歳三は苦笑して、『火事が好きだ、というのだろう』『そうなんです。あれは見たかった。大砲火事なんてものは、火事が名物の江戸にもないですからね』

ハ………???

沖田くんは奥州白河藩の江戸定府の息子で、近藤の道場では「万人に一人という天才的な使い手」だったよう(「千年に一度の逸材」が「万人に一人の天才剣士」を演じる世界線がどうやらあるようなんです………ウワァ……)なんですが、市中放浪期も長かったので、町っ子らしい明るさや人懐こさがあるんですよ。

それにしても何を言ってるんですかね????火事が好きってwwwww

人が死ぬんだよ沖田くん!?!?!?

 

 

沖田くん、かなり頻繁に土方さんのところに無駄話をしに行ったりするんですが、ある時、女の話を出します。お梅ちゃん。

沖田くん、普段女の話なんてしないのに!!!!誰!??!誰なのその女!?!と思いましたら、近頃芹沢のもとを頻繁に訪れている女なのだそう。

 

「あの女がくると、隊の者はみんなさわぎます。私はあんな感じの婦人はきらいだけど」

 

キャーーーーー!!!!!リアコ勢大勝利!!!!沖田くんのォ好きなタイプはァどんな女の子ですかァ〜〜?!?!?わたあめみたいな女の子ですかァ〜!?!

沖田くんは、隊の隅々まで嗅ぎ回る、かなりのゴシップ野郎です。この嗅覚は特筆すべきところがありますし、実際彼の持ってくる情報があるからこそ隊内政治がうまくいっていると言っても過言ではない。

 

「芹沢さん、可哀そうだな」

 

タイトルにもあるように、芹沢さんを暗殺することになるんですけど、沖田くんが指名されます。

で、可哀想だ……と言いながら、めちゃくちゃ熱心に準備します。

しばしばお部屋に遊びに行って、暗い中でも歩けるように、ちゃっかりしっかり敷居の高さや廊下の長さなどを検分してくるんです。

「もう大丈夫です。眼をつぶってでも歩けます」とか言うんですよ。多分可愛くにこにこしてます。楽しみにしてるんです。何ウキウキしてんの!?

でもやっぱり、「芹沢先生は可哀そうだな」と言ったかと思えば

「土方先生、あなたはずるいから、一ノ太刀はご自分がつけるつもりなのでしょう。そうはいきませんよ。私はこれほど検分しているのだから、私に譲っていただきます」

そして、「その晩もしお梅ちゃんも一緒にいたらどうしましょうか?」と沖田くんが尋ねましたら

土方さんは

「斬る」と即答。

これに沖田くん、「可哀そうだな」と目に涙を浮かべてマジで痛ましそうな顔をします。

 

さて、ここでクイズです!!!!!

一番ヤバいのは、誰でしょうか!?!?!?!?

 

私は迷いなく、イカれサイコ大賞2020を、沖田総司くんに授与したいと思います!

おめでとうございます!!!!!拍手!!!!!!!

 

だってさ、返り血も洗わないまま目をギラギラ光らせて「俺っちに斬らせてくだせえよ…」とかいうなんちゃってサイコキャラって結構いるじゃないですか、新選組にも何人かいるんです。

でも沖田くんは、「僕は芹沢さん好きだな♡」「芹沢さん、可哀想だ…」とか言っておきながら「斬るのは僕ですよ土方さん!!!!!!抜け駆け無しですからね♡♡♡」って意味不明すぎるでしょ、好き…………

 

 <長州の間者>
タイトル通り、主人公は長州の間者です。間者ってのは、スパイ。
深町新作という男の話がメインです。ちょいちょい彼のラブロマンスが挟まります。
この新作に、おそのという恋人がいるんですが、このおそのの姉の小膳の斡旋で、彼は長州様に奉公する、つまり長州側のスパイとして新選組に潜り込むことになります。
話によるとどうやら既に新選組に潜り込んでいる長州の間者がもう一人いるらしいのですが、誰なのかは教えてもらえません。
万が一どちらかがバレた時に、共倒れしないように、との措置です。

ちょっと新作くんのもろもろゴタゴタは是非、本で確認してください♡(新作担ではないもので…)

「妙な人間もいたものだ。普通なら、力がなくとも強くみせたがるのが人情だし、竹刀を力いっぱいに打ちあうものだが、あんな人をはじめてみた。わざと弱くみせるというのは、どういう気持でしょう」

 

この新作くんの入隊テストで相手をした沖田くん、こんな発言をします。
土方さんに「誰のこと言ってんの?」
と聞かれた沖田きゅん、「名前は、わすれた」
か、、、、か、、!!!!!!!かわいい!!!!(涙)
で、この後土方さん、「いやでも普通にダメだったよ、撃ちが浅かったし」
と言うんですが、沖田くんは「わざとしてるんじゃないかな」と言います。体つきや太刀行きを見ても、撃ちが浅かろうはずがないと。
そんなことを思いもしなかった土方さんは、ここではじめて新作を疑い始めるんですよ。
沖田くん、仕事できすぎん、、、!!??!?

そしてある時、近頃ある寺で浪士が密会しているという情報が入り、十番隊(新作が所属)が出動します。ちなみに沖田くんは一番隊です。
すると沖田くん、関係ないのに、草を噛みながらふらりと加わります。
「ただ見物するだけ」だと言ってますけど、どうでしょうねえ。

いざ討ち入ってみますと、どうやら情報がバレてます。
新選組が来ることを知らせた者がいるみたい。
新作は、おそらく例の、もう一人の「間者」だろうと考えます。
そうして動揺している間に、新作は浪士を二人取り逃がします。
その時!!!!!!その時ですよ!!!!!!!!!
 
「深町君。なにをしている」
背後で、落ちついた声が聞こえた。ふりむくと、沖田が薄暗い土間で草を噛んでいる。
「早く追わなきゃ、搦手の連中が苦戦をするよ。いまの二人は、とくに手利きのようだ」

ぎゃーーーーーーーー!!!!!!!!!(うちわ振りかざす)
ここ、はちゃめちゃにかっこよくないですか!?!??!一緒に泣きませんか!!??
もう本当に、無理すぎる、嗚呼、無理。(語彙……)

絶対「ようこそ、パレードへ…」のトーンじゃん……苦しい…

いつもヘラヘラにこにこしてる沖田さまに、突然背後からこんなこと言われたら、討ち入りのことなど忘れて飛び掛かってKISSしてしまいませんか!?!?(あんただけだよ)



そしてこの事件ののち、新作くんは沖田さまの一番隊に入れられます。
ある朝土方さんに呼ばれるんですが、そこに何故か沖田もいます。
「これから路上で隊士のうちの一人を待ち伏せして、斬ってほしい。沖田くんが検分役としてつきます」
と直々に指令が。
任務遂行のため、新作が沖田と一緒に市中へ行くと、祇園会の宵山の準備が進んでいるんです。
沖田くんはこういう楽しいことが大好きなので、目をキラキラ輝かせて覗いてみたりしてる。かわいいねえ……もう全部買い占めてあげたいね、沖田くんのために…手を繋いで…縁日にでも行って…かざぐるまと綿あめ買ってあげたいです…


ここで新作くん、沖田さまに尋ねます。
「沖田さん、一体、誰なんです、この往来を通りかかる者というのは」
沖田さん、扇で風を入れながら


「長州の間者だよ」

サーーーーーーーーーーーーーッッッ(血の気の引く音)

やばいやばいやばい、確実にまずいよ。

で、ここで通りかかったのがなんと……新作くんと非常に縁の深い人物だったのですが……この人が例のもう一人の間者だったのね、やっぱりね…という感じで。
まあ沖田くんと直接関係しないのでここではバラしません。
直接ご確認ください♡

新作くんは見事、自分も間者の身でありながら、そのもう一人の間者を仕留めることに成功したわけですが、恐らくその最期を見届けることはできなかった。
何故かというと、その間者を斬った途端、新作くんも夏雲を見たんです。
 
新作の死骸の横で沖田総司が、鉾を無邪気にながめながら丹念に刀をぬぐった。

ア"……………………
沖田さま御みずから……!?!?!!?
新作くん、たかがスパイのくせにズルくないですか!?(ハイ!!?!?) 

 

 虎徹

 虎徹というのは、近藤さんの愛刀です。

近藤さんのお茶目なファンキー無茶振りボーイっぷりが遺憾なく発揮される逸話なので、ぜひぜひ読んでみてください。

実はここにも、素敵な沖田くんが潜んでいます。うちわの準備、OKですか?

 

近藤さんがまだ気軽に外を出歩いていた時期。部下を連れて自ら市中巡察に出かけます。

灯が点かなくなってしまったので、気さくな沖田くんが「火、もらってくるね♡」って何気なくすし屋さんに入ります。

ここで、何やら怪しげな会合に出くわしてしまうんですよ。

 

「何藩だ」と、別の一人がいった。

「おどろいたな」沖田は、笑った。

「京では、すし屋に入っても、何藩の何某であると名乗るのですか」

「不審があるからだ」

「いやだなあ」

 

この「いやだなあ」って、沖田くんの口癖ですよね。

困った顔で、照れながら言うんですよ。「燃えよ剣」でも、何度か言ってませんでしたっけ?

山田くん、言うかなあ?言って欲しい……山田くんのフィルターを通した「いやだなあ」が聞きたいです。

 

沖田くんが名乗った瞬間、全員戦闘モードに入るのですが、当の沖田くんはこう言います。

 

「待った」と沖田はいった。

「店が迷惑する。やるなら表へ出なさい。名乗った以上は、存分にお相手します」

 

ギャアーーーーーーーーーーーーー!!!!!!(ババアの断末魔)

こういうところ、ほんとうにずるいですよね、このひと…

ひと試合始まりそうになったとき、すし屋の主人も内心「オイオイ、勘弁してくれ…」って思ったはずなんですが、沖田くんはそのへんようくわかっていますから。

私がすし屋の主人だったらこのセリフで鼻血

出してシャリを血まみれにします。

そして名乗らせたらこっちのもん。存分にお相手してくれるそうです。死ぬまで、です。優しい……お優し王国の王様じゃん…

 

それでは続きはまた明晩。

新選組血風録」、気になった方がいらしたらぜひ。

 

www.kadokawa.co.jp